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第18話 音の聴こえる方へ

地に響くような音が遠くから聞こえてくる。 祐は泉の端へと近寄ると、側に生えていた大きな細長い葉を一枚グイッと引っ張った。が、抜けない。 「誰も居ないからまぁいいか」 周囲を再度確認し、誰も見ていないことを確認した祐は泉から上がると、もう一度葉を握り締め引っ張った。 思いの外しっかりとした葉は、踏ん張って力の限り引っ張る。 「く…、くぅ…、っ、わあっ!!?」 漸く根本辺りからいい具合に千切りとることが出来た。 「うわあっ、あ、危なかった…」 後ろへ転びそうになったが、何とかバランスを取り免れた。 素肌で地面に尻餅つくと相当に痛そうだ。 ふうっと一息つくと、体にいそいそと巻き付けた。 大きな葉は、祐に丁度いいサイズだった。 さながらバスタオルを巻いている様だ。 下手をすると海苔巻きか。 「これでよしっ!」 祐は自分のアイディアに満足して、音の聞こえる方へと足を向けた。 もしかすると車かもしれない。 いい人そうなら声を掛けて助けて貰おう。 そう思いながら祐は、裸足で土を踏む慣れない感触を気にしながらも音の聞こえる方へと近づく。 そこへも自分の背丈と同じくらいの草が生えており、掻き分けて進む。 そうすると、すっぽりと姿が隠れる。 音も次第に大きく聞こえ始め、祐の心臓の音も比例して大きくなってきた。 柔らかな葉で出来た即席の服の胸元を押さえながら、漸く見えてきた出口を認めて祐は立ち止まった。

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