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第22話 滲む涙
そうしているうちに、祐の頭上から日差しが落ちてくる。
巨木の合間から天使でも降りてくるのではないかと思える木漏れ日。
「綺麗だなぁ…」
本当ならば、こんな素敵な場所を森林浴としてのんびりと歩くのも良いかもしれない。
けれど、そんな気持ちを今は到底持つことが出来ない。
視界がユラユラと歪む。
心細さから勝手に涙が溢れてしまう。
祐はグイッと手の甲で涙を拭った。
それから少しの間、手の甲で目元を隠したまま立ち尽くす。
大丈夫、大丈夫、きっと大丈夫。
なんとかなると自分に言い聞かせる。
「スンッ。…な、泣いててもどうにもならないもんね…」
涙を拭い鼻を鳴らした祐は、取り敢えず辺りを散策してみることにした。
何か発見があるかもしれないし、誰かに会える可能性もある。
そうしたら斗真か、日本の両親へ連絡を取ることが出来るだろう。
早く家に帰りたい。
祐は、視線を上げた。
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