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第25話 気配
二度目の探索活動が空振りで終わりを告げて、少し後。
「お腹空いた」
ぐうぅ~っ
先程から何度目かの腹の音を聞きながら、祐は情けなく眉を垂らした。
少食の祐ではあるが、きちんと朝昼晩と食事を採らないと元気が出ないどころか、2食抜いたときには調子を崩してしまう。
なので、そろそろ何か口にしたいのだが…。
「ご飯、食べたい…」
頭に白米を思い浮かべながら、仕方なく水を飲んで誤魔化した。
どれくらいぼんやりして過ごしたのか。
空腹も誤魔化されたのかピークを過ぎ去り、祐は逆に頭が冴えてきた様にも感じていた。
そんな祐の耳に、あの黒いマントの人と生き物以来の物音が聞こえてきた。
あの時の地響きに似た音ではないが、確かに誰かがこの近くを移動している様だ。
音は道とは違う木々の間、葉の繁る方からだ。
「よ、良かった~。助かるかもしれない!」
笑顔を浮かべ立ち上がりかけた祐は、動きを止める。
「え、もしかして熊とかじゃないよね…」
可能性を棄てきれない為、祐は取り敢えず様子を伺うことにして静かに泉に身を沈めた。
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