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第26話 現れた男達

「よーし、そろそろ休憩にすっか!」 「「「へーい!」」」 「水を一口飲んだら、直ぐに出発だぞ!」 明らかに人の声だ。 男が何人も直ぐ側に来ていて、話からしてこの泉の水を飲んで、また出発するらしい。 「助かった~。あっ、そうだ服っ」 これで何とかなる。 祐は安堵した。 声の主に相談して一緒に街か村かに連れていって貰えれば、あとは自分で警察にでも行けばいい。 これで斗真の家へ帰ることが出来る。 けれど、今自分は全裸だ。 こんな状況を目にすればおかしなヤツだと思われて置いていかれても困るし、何よりも自分が恥ずかしすぎて死ねるレベルだ。 目の前の草が、ガサゴソと大きく揺れている。 「は、早くしなきゃ。って、うーんっ!抜けてぇ~お願いだから、わあっ?!」 慌てて祐は、近くの葉をなんとか引っこ抜いて体に巻きつけた。 それと同時だった。 「おおーい、お前ら早く来ーい!」 何処か楽しげな声が上がった。 反射的にそちらの方を見てみると、筋肉質で髭を生やした大男が祐の顔をジッと見ていた。 気のせいか、どことなく嫌な笑みを浮かべていた。

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