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第28話 値打ち

「や、やめっ!うぅーっ。は、はな、離してってば~、手を離せぇっ!!」 片手で軽々と手首を一纏めに捕らえられてしまい、大男に顔を近づける羽目になる。 間近でじっくりと見つめられ、抵抗して顔を逸らせる。 「こいつぁ、大物だぁ~。…こいつを売れば一生困ることのねぇ、大金を手に入れられるぞ~おまえら!!!」 その言葉に歓声が沸き、またしても注意されるが、どちらも笑みを堪えきれない様子だ。 「こんな色の肌と顔の人間、色んな国で悪さもしてるが…生まれてこの方見たことねぇ。本気で精霊の類かとマジで思ったが…どうやら作りからしても人間で間違いない様だなぁ…」 そういいながら、ベロリと頬を大きな舌で舐め上げる。 その感触に、祐は身震いした。 舐められた所がおかしくなり、不快感が込み上げてくる。 これからどうなるのか。 殺されるのだろうか? 恐怖と絶望に再び涙がこぼれ落ちる祐を見て、男がニヤニヤと笑みを深くした。 「なんだコイツぁ~妙に色っぽいじゃぁねぇか…」 男が舌なめずりをする。 「本当なら商品に手は出さねぇが、今回は特別に出してやるとするか…!」 「商品にお手つきがあったら、売値が落ちるんじゃないんすか、頭ぁ!」 ひとりが声を掛けると、頭と呼ばれた男が笑う。 「こんな人間、この世の中探しても何処にも居ねぇよ。だから少々手がついていようが、処女じゃなかろうが問題ねぇのよ!その辺の女売るよりかは、何倍も何百倍も値がつくんだよ!!」 そんな男の話に、祐は顔面蒼白となった。

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