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第36話 袋の中で
「く、苦しい…!」
小柄な祐なので入る事は入ったが、入り口を閉じられると圧迫感が物凄い。
袋の余りの狭さに声を上げるが、祐の声は大男に届くことは無い。
男たちは急いでいる様で、祐を抱えての山道でも移動の速度は速い。
山道に慣れている証拠だろう。
これから何処へ行くのか…。
周囲の様子で、誰かから逃げているのは分かった。
逃げるなら荷物になる自分など、置いていけばいいのにと思う。
「このままじゃ本当に犯されるか、殺される…っ」
だから男達がその相手に捕まってしまえば、自分も何とかなるのではないか。
あくまでも男達が捕まればの話だが。
そして、その相手がいい人であれば…の話ではあるが、そんな保証はどこにもない。
袋の中で丸くなった祐は、これからどうなるのかと益々不安に胸が締め付けられていく。
袋の中で揺られ続けた結果、元々乗り物に弱い祐は酔いから気分が落ちて考える力も無くなっていた。
それに加え酸欠気味も手伝って、祐はいつの間にか気を失っていた。
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