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第39話 人買い

「まさかこんな所でアルゴと出会うとはなぁ」 すると、側に居た大男の部下が呟く。 「俺達は運が良いぜぇ!」 もう一人の男が若干興奮気味に応えた。 「…?」 あの男は一体誰で、そしてこれから何が起こるのか? 疑問に心持ち首を傾げた祐に気づいた隣に居た男が、ニヤリと笑った。 「あいつは、人買いアルゴ。オマエはこれから売られるんだよ!」 「!!?」 その言葉に祐は目を見開いた。 「アイツはこっちの世界じゃ有名な人買いでな。でもただの人買いじゃねぇ、相当な悪さ。そのせいで、警戒心も強くてよ~なかなか会えないからいつもは適当な人買いに女を売るんだが。運良く都市へと向かうアルゴに会えたわけよ!!」 どうやら相手は相当悪知恵の働く男らしい。 「オマエを抱けなかったのは本当の本当のほんっとーに!心残りだが仕方ねぇ。俺達が生きる為の大金にゃぁ、かえられねぇからな!」 「お前は相当な額で売れるぜ~自分に自信を持って生きていけよ!!きっと大金持ちがこぞって買ってくれるからなぁっ」 この男たちに犯されるのも嫌だが、これからまた得体の知れない男に買われるのも嫌だ。 とにかく逃げるしか道はない。が…その逃げ道がない。 「この先、女抱くときにはお前を思い出してやるから悲しむなよ!」 男達は、顔面蒼白の祐をよそに、好き勝手な事を言い出す。 「おいっ、ソイツを連れて来い!」 驚きを隠せない祐を気にも留めず、大男が嬉しそうに指示を出した。

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