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第41話 同じ運命
あれから、どの位揺られたのか。
アルゴに引き渡されて、馬車の中の籠へと入れられた祐は膝を抱えて座っていた。
薄く肌触りの良い白の簡素なワンピースを着せられたが、下半身は何も穿いていないので心もと無い。
見えないようにワンピースの端を折り込んで、大切な場所は隠すようにしている。
「…」
チラリと視線を巡らせる。
周囲には同じ様な籠が5個。
籠の隙間から見える限りだが、女達が悲嘆に暮れていた。
男は自分ひとりの様だ。
女達も売られてきたのだろう。
兎に角ここから抜け出したいと自分と同じ様に思っているはずだ。
出来るなら皆で逃げ出す方法があればいいけれど、なかなか難しいだろう。
無理でも何とか逃げだす事に成功したら警察にだって行ける。
そしてこの事を伝えて、彼女達も助けて貰えばいいかもしれない。
今の時代、奴隷なんてそれこそ国際的に大きく問題化されるだろう。
そうすれば、自分の様にある日突然拉致された人間も家に帰れるはずだと、祐は両手を握って力を込めた。
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