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第42話 考えても考えても

しかし籠に入れられたこの状況で、尚且つ何人もの警備の目が光る中を逃げ出せる事は、ほぼあり得ない事だった。 まず、この籠。 少し力を入れてみたが、全くびくともしなかった。 祐の様なひ弱な人間には到底破れそうもない。 倒れた衝撃で壊れないかとも思ったが、前後左右と女達の籠も置かれていて、倒れはしないだろう。 取り引きされたあの時見た限りでも人買いの男たちは、軽く十人近くは居ただろう。 その男たちは、馬車を囲むように馬を走らせている様だ。 そんな中を例え籠から出られたとしても潜り抜ける速さも力も持ち合わせていない。 「どうしたらいいんだろ、何にも考え付かない…」 考えても出る答えはひとつしか思い浮かばない。 つまりは逃げられないのだ。 諦めたらダメだと自分に言い聞かせ、考えを巡らせていると馬車が急に止まった。 ガタンと大きく揺れる。 着いたのだろうか? ガヤガヤと周囲が賑やかになったかと思うと、馬車の後方の布が開けられて男達が顔を覗かせた。

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