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第49話 自覚なき領主
「そうは言ってもしょうがないじゃろ。共も連れずにひとりで出歩いて、万が一何かあってもいけんしな」
「俺が剣の勝負で負けるとでも?」
ヴァレリーの言葉に足を止めたミカエルは、明らかに機嫌を急降下させた。
こうなると面倒だ。
「そんなことは思っとらん。お前は強い。ただ、部下の立場からするとだな…」
「そんなことは知らん」
ミカエルが再び歩き出す。
「あのな~。お前は自分の立場を分かっとるんか?!」
ヴァレリーはカチンと来ながら言い募る。
「ギヨーム、少し出てくる。留守は頼む」
「畏まりました。お気をつけて行ってらっしゃいませ」
そう言い合う二人は、玄関ホールでギヨーム達使用人に見送られ出て行く。
「待てって、話は終わってないぞ!お前は自覚を少しは持てよ!!」
「何?自覚だと?」
眉間に皺を寄せてこちらを見たミカエルに、ヴァレリーは呆れた顔を隠しもせずに言った。
「お前はこのフレスタルの領主。そして我らが偉大なる国家、ペルマナント・ローズの…っ」
「そんな事は知らん。関係だろう?今は言うな」
ギロリとミカエルに睨まれて、ヴァレリーは肩を竦めた。
これ以上言うとややこしい事になる。
ヴァレリーは話を諦めて後を追った。
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