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第57話 怪しげな部屋

化粧をされているのだと気がついた時には、終わった時だった。 「何だよ、こいつぁ見たことねぇ上玉だな!!」 化粧を施した男が感嘆する。 「そうだろう?しかも男だぜ」 「男!?」 やはり祐が男と知ると、相手は心底驚く様だ。 「アルゴ様ですら絶賛された品だ。今夜は史上最高額がつくぜ」 そう満足げに答えた男は、祐の手の拘束を解くと用意してあった服を渡してくる。 「着替えろ」 そう言われて恐ろしさから素早く着替えた。 「…っ?!」 「似合ってるぜぇ」 慌てて着替えた服は先程まで着ていたワンピースと違い余りにに心許ない。 胸元と裾にレースが施され少し薄い生地で出来ていたからだ。 着飾った祐を満足そうに見下ろし、それから抵抗するのも全く気にせず籠に入れると軽々と男は抱え直した。 それからまた歩き出す。 さっきとは違う方向だ。 着いた先には大きな扉が開かれており、入ると広い怪しげな部屋が現れた。 薄暗い部屋の天井から薄い布が幾つも垂らしてあり、シャンデリアが煌めく。 床には絨毯が敷いてあり、クッションが重ねられている場所には妖艶な美女が鎖に繋がれ座り、身を寄せ合っていた。 別の場所には大きな鳥籠の様な檻が置かれ、そこには若い女達が顔を強ばらせてそれぞれ身を小さくしている。 「酷い…。本当に人身売買なんだ…」 祐は顔を強ばらせながらポツリと呟いた。

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