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第60話 オークションの始まり

こちらへ来てから会った人間とは違いどう見ても金を持っている余裕の雰囲気が醸し出されていた。 そんな人間がゾロゾロと楽しそうな笑顔を張り付けて入ってくる姿は異様だ。 この場所がどんな所か知っているのだ。 誰もが疑問も抱かずに会場に繋がれている女達を見ているのだから。 人を買いに来たのは明白だった。 それぞれ席についた客達は、じっくりと品物を吟味している。 そのうちに、祐の居る場所に視線が集まってくる。 外からはこちらの様子は見えない様だが、ここだけ特別に飾られているのだ。 だからメインとしての存在だというのは、一目瞭然だろう。 一体どんな女が入れられているのか? 客達の興味は益々高まっていた。 そんな熱を感じて、祐の背中に嫌な汗が流れた。 「なんでこんな事に…うぅ~神様っ仏様!!どうぞ僕を元の場所へ帰らせて下さいっ!」 そう神と仏に「お願いしますっ、お願いします!」と目を閉じ震える手を合わせて祈っていると、不意に大きな声でアルゴの部下が叫んだ。 「皆様、ようこそ!!これより当主人・アルゴによりますオークションを開催させて頂きます!!」

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