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第62話 客の男達

金額が日本円でどの程度かは分からないが、人間の売買であるしそこまで安いはずはないと思う。 取り敢えずキャラットというのが、円と同じ金額を表すものだという事だけは理解した。 やはり聞いた事のない通貨で、ここは祐の知らない国であることは確信できた。 「それでは次の品物でございます!」 こうして次々と女達が中央へと連れていかれる。 値段はどういう基準かは分からないが、買いに来た男達の好みが重なると競り合いになり値段も上がる。 大抵300~600が相場で時々800という値段が出てくる。 そうして買い手が決まった女達は、順番に横のドアから出されて行く。 一体何処へ連れて行かれるのだろうか…。 女達を見る男達は心底楽しそうだ。 ヘラヘラ笑っている者やニヤニヤしている者。 女について隣の客とこそこそ話ながら、手を上げる者。 欲望の渦巻く世界だ。 どの客も椅子へふんぞりかえって、片手にグラスという格好で楽しんでいる。 これから自分はどうなってしまうのだろうか? 祐の不安は益々増大されていった。

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