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――9月14日。
「ん……ぁっ……」
「燕……」
この日は朝から、夜鷹と身体を重ねていた。
仰向けに寝転がる夜鷹の上に跨って、腰を沈めて、熱くなった性器を自分の中へ導いて行く。
俺たちの行為はいつもこうだった。
夜鷹がまだ手足があった頃、学生の頃……
その時から俺がいわゆる『ネコ』だった。
夜鷹が手足を失ってからも変わらず、俺が夜鷹を受け入れる。
少し変わったのは夜鷹が自力でほとんど動けない分、俺が動かなければならないというところ。
「あっ、んんっ……」
「ふふ、燕、かわいい……」
夜鷹はにやにやしながら、腰を動かす俺を見て来る。
『かわいい』と少しからかうような口調で言われ、羞恥心が込み上げて来る。
自分で動くのは楽ではないし、恥ずかしいけれど、それでも俺はこの行為が嫌いじゃなかった。
セックスをするかしないかは夜鷹の機嫌次第なので、俺から誘う事はないが、誘われれば断らない。
行為の最中だけは、夜鷹は俺の事だけを考え、俺の事だけを見てくれる。
だから俺は夜鷹とのセックスが好きなんだ。
「俺、この瞬間だけは手足がなくて良かったって思えるよ」
「……っ……んっ、な、なん、で?」
「燕が全部シてくれるから。
お前が俺の上で腰振ってるの、凄いエロい。超興奮する」
「…………っ」
夜鷹が恍惚とした表情で、俺を見て来る。
夜鷹の綺麗な瞳に捉えられて、ゾクゾクする。
夜鷹のモノを受け入れた自分のソコがきゅうきゅうと締まるのを感じた。
「ん゛っ……」
「俺、お前に尽くして貰うのが好きなんだ」
「……んっ、はあっ」
「お前は……俺が事故に遭ってから、俺に付きっきりだね。
まるで俺の為だけに生きてるみたいだ。
……俺の奴隷みたい」
「…………んっ」
――そうだよ、俺は……
――お前の為だけに生きてるんだよ。
常にお前の事だけを考えてる。
お前以外に大切な物なんてない。
お前以上の物なんかある筈がない。
お前の世話を焼き、お前に尽くす事が俺の生きる意味であり、生きている理由だ。
だからお前が手足を失い、俺の介助を必要とする今のこの状況は、全て俺の望み通りなんだ。
「……俺って酷い奴だね。
お前の全てが手に入るなら、こんな生活も悪くないなって思っちゃうよ」
「…………うん。俺はお前の物だよ……」
――だから…………
――お前も俺の物になってよ。
その言葉は伝えずに、胸の奥に仕舞い込んだ。
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