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第12話
マオが口で奉仕していると、男はベッドの端に腰掛けた。
そして四つん這いでフェラをするマオのアナルに、強引に指を突っ込んでくる。
『んぅぅ』
あまりの痛みに声が出るが、ペニスを口に含んでいる状態ではまともな声など出るはずもなく、発せられた声はかすれていた。
男はマオの内側に指を這わせ、掻き回すようにして器官を押し広げていく。
全然気持ちよくないし、むしろ気持ち悪い。
『おい、ちょっと離れろ』
マオが男の肉棒から口を離すと、マオはその場に仰向けに寝かされた。
そして首筋に、胸に、腹に、内腿に、チクリと刺すような痛みを覚える。
男がキスマークをつけているのだ。
肌の上を這い回る手付きも、唇と髭の感触も、おぞましいとしか形容できないものだった。
『また勃ってねーの?つーか精通してねーのか?』
マオには何も答えられない。
胸の内にあるのは、途轍もなく大きな恐怖。
性器が萎えているのは、きっとこの大き過ぎる恐怖をどこへも受け流せないからだろう。
『でもま、綺麗なガキは嫌いじゃないぜ』
男はマオの両脚の間に割って入ってくると、唐突に肉棒をアナルに埋めてきた。
『あぁぁぁぁ!?』
『きつ……もっと力抜けっつーの』
『あ、あ……す、すみませ……力……抜きます……』
ご主人様の言い付けは絶対だ。
ゆえに「力を抜け」と言われたら、どんな手を使ってでもそうしなければならない。
マオは激痛と凌辱の哀しさに耐えながら、何か楽しいことを思い出そうとした。
最近、何か楽しいことなんてあったっけ──?
『ん、まあいい感じに緩くなってきた』
ズン──、と突き上げられる度に、眦に溜まった涙がベッドを濡らす。
気持ちよさそうに腰を振る男とは裏腹に、マオは激痛以外の何も感じていなかった。
早くこの男の元から離れたい──。
でも、仮にその願いが叶ったとして、次のご主人様がまたこんなことを求める人だったらどうしよう。
「──っ!?」
マオは激しい鼓動と吐き気で目覚め、本当に吐きそうだと察するなり洗面所に言って吐瀉してしまう。
なんだって10年前の夢を今更見ることになったのか。
やけにリアルで、本当に自分があの時代に逆戻りしてしまったのかと思うほどだった。
「彰彦様は、あんなことはしない……優しいお人だ……」
金輪際、彰彦のような主人に出会うことはないのだろうと考えると、「今」を守りたくて必死になる。
少しでも要望に沿えるように頑張りたいと心から思う。
どうか、もう売られませんようにと、切に願うのだった。
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