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第4話

それから数日後の定休日、僕達一家とシエンさんとで森にピクニックに行く事になった。 この日は僕の誕生日で、シエンさんがお勧めのスポットでお祝いしようと息子達に持ちかけたのが始まりなのだ。 息子達はその誘いにキラキラと瞳を輝かせ、僕を驚かせると意気込んだ。 そして出発時、息子達は三人に分かれて僕とシエンさんにくっついてる。 シエンさんは驚いた様だけど、嬉しそうに裾を提供してるし。 いつもと違う形…。何で? 不思議に思いながら連れて行かれた場所はとても良い場所だった。 近くに泉がある少し開けた場所で、大木から適度に木漏れ日が差し、とても気持ちが良い。 息子達は泉に倒れた数本の巨木の上をシエンさんと一緒に走り回っている。 泉に魚とかいるのなら、釣りが楽しめそうだし安全なら水に浸かるのもありかな。 僕は木漏れ日の下で木の幹に背を預け両足を投げ出し、巨木の上で追いかけっこをして楽しむ彼らを見てほっこりしていた。 瞼を閉じて、頬を撫でて行く風と皆の遊ぶ声を楽しんでいたらいつの間にか眠ったらしく… …太股に重みが…? その変化に瞼を開くと、僕の左太股にシエンさんが頭を乗せて寝転がっていた。 そしてシエンさんの身体を枕代わり息子達が並んで寝転がり、「くぅくぅ」と寝息を立てていた。 僕が目を覚ましたのが分かったのか、無言で「しー」という動作を指でし、僕は一つ頷いた。 こういうのも良いものだと思いながら、僕はシエンさんの滑らかな髪を風の代わりに撫でた。 木漏れ日は適度に温かく、泉の水面がキラキラして綺麗だ。 僕は黙って座りながら、息子達とシエンさんに愛しさが溢れていた。 そしてしばらくそうしてると息子達が起き出し、僕達は少し遅めの昼食を摂る事にした。 皆でシートを広げ、お弁当を準備し適当に座ろうとしたら… 「父さんとシエンさんは、ここね!」 スィンが僕とシエンさんを並べて、ウノが彼に近づく。 「あのね、シエンさんなら、父さんを任せても良いよ?」 「本当かいウノくん!!」 「うん。みんなで決めたから、大丈夫」 ウノの台詞に合わせて他の子達が頷いてくれてる。 そしてみんなからそれぞれ誕生日プレゼントだとエプロンと大きめな三角巾をプレゼントされた。 どうやらこのプレゼントの為に、シエンさんの所で休みの日に順番にお手伝いをして、その報酬に布を貰い作ったそうだ。 シエンさんの所で手伝いをお願いした際、僕との関係の事を息子達の方から持ち出してきて、シエンさんも頷いて…。 そうか。バレバレだったのか…。 しかも、こんな嬉しいプレゼントとシエンさんとの関係を認めてくれる言葉。 僕は「ありがとう」と口にし、驚きと感動に震えていると… 「ねぇ、シエンさんはこれから僕達の…"パパさん"?」 「お父さんが二人…」 「パパさ――ん!」 「ダブル父さん!!」 「うん。父さんとパパさんだね」 「ぅわ―~~い! 増えたー!」 潤んだ瞳で真っ赤になった僕とシエンさんを囲み、息子達が勝手に「結婚だ~」と盛り上がってる。 するとシエンさんが僕の左手を取り… 「俺と結婚して下さい…」 「…ぁ…」 そう言いながら小さなビロードの箱を僕の掌に載せた。 中を確かめると、そこには上品な銀色の指輪が…。 それに益々息子達の「結婚!」コールが激しくなり、僕は… 「はい…」 ―…自分の誕生日にシエンさんと僕達は木漏れ日の下で…『家族』になった。

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