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代愛

 乱歩さんの言葉が頭から離れない。  ――太宰が国木田を受け入れようとしたのは国木田が太宰よりも目線が上で、莫迦が付く程の真面目であと少し天然が入って居るからだ。  ――勘違いするなよ国木田。太宰はお前自身を見て居ない。  河から引き揚げられた太宰。幸いな事に一命は取り留めた。  太宰は何故毎度自殺を繰り返すのか。俺の言葉を受け取って呉れたのは何だったのか。 「俺では駄目なのか……?」  俺では太宰の生きる意味には成れないのか。何故死を選ぼうとする。其の刹那少しでも俺の顔が過ぎる事は無かったのか。  ――そんな事は唯の押し付けだ。俺が支えに成りたいと願っただけで、太宰から未だ正式な回答を得られては居ない。  ならば此の結果こそが太宰の回答だったのでは無いだろうか。 「国木田」  椅子に腰を下ろした儘顔を上げると、社長が憮然とした様子で俺を見下ろしている。 「太宰が話をしたいと云っている」 「俺と、ですか?」

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