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第7話
自分の所業を、他人事のように、どこか遠くで俯瞰している感覚だった。
優斗と交わっているのは、自分ではない。自分自身に言い訳をし、目を瞑る。
運命の番との行為は、今まで肌をあわせた誰とも比べものにならない快楽をもたらす。またたびを与えられたら猫のように、狂ったように、甘い匂いを放つ優斗を容赦なく攻め立てる。
熱い息を間断なく吐く。優斗の脚を割開き、しきりに腰を打ち付ける。
「……あっ……ン」
欲望の先が包み込まれる感触がある。これが、オメガの最奥の秘部。
その感覚に、背中がぞくりとした。
自身の欲望の根元が栓のようにぐっと膨らんだのがわかった。それとほぼ同時に、うなじに歯を突き立てた。
優斗は甲高く啼いた。うなじに舌を這わせ、滲み出た血を拭う。
熱がまた、上昇した。
「治也……」
優斗がぽつりと囁いた。
その声を耳に刻み、翔太は意識を手放した。
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