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第47話

 生徒会の挨拶運動に少し遅れて校門に到着した翔太を待っていたのは、心配そうな表情の生徒会役員と、仁王立ちの担任だった。 「佐久間、来て早々悪いが、校長室まで一緒に来てもらえるか? 校長がお呼びだ」 「え、ええ……」  普段も威圧的な物言いをする担任だが、今日は更に増しているように感じた。そして生徒会役員達の様子から、良くない呼び出しだということは容易にわかった。  翔太が校長室に通されると、そこには校長を筆頭に教頭、学年主任、生徒会顧問がいた。 「我が校始まって以来だよ、佐久間くん」  含みのある言い方で校長が告げる。 「何のことでしょうか?」  良くない呼び出しだということは認識しても、その内容は見当がつかない。真意を測りかねる翔太は眉を顰める。 「オメガの生徒三人から、昨日被害届が出された。きみに暴行されたとね」 「……え? ……何かの間違いではないですか? 私がオメガの生徒に暴行することなど、絶対にありません」  全く持って濡れ衣もいいところだ。  情報の出所はどこなのか、本来なら問いただしたいが、その被害届の話は、どうやら本題ではなかったようだ。 「アルファのきみが、なぜ絶対と言い切れるのかい? オメガの発情はアルファの理性を奪う。凶暴になる者もいるし、何が起こってもおかしくない。しかも、きみはオメガの発情時の対応もしているはずだ」 「……っ」 「きみが絶対だと言い切れる自信は、どこから来るのかな?」  恐らく、翔太に番がいることが校長の耳に入ったのだろう。翔太の口から、番がいることを言わせるように誘導しているのだ。  先程の、地下駐車場での優斗とのやり取りを思い出す。優斗に振り払われた手を、握り締めた。 「きみには、番がいる。そうだろう? 生徒会長に番がいるなど前代未聞だ。もし違うのなら、反論を聞こう」  翔太が口を開かないことに痺れを切らした校長が、核心に迫る。 「……いえ、反論はありません。私には番がいます。それだけは、紛れもない事実です。番を解消するつもりもありません」  真っ直ぐな眼差しで、校長に断言した。更に強く手を握りしめる。 「生徒会長が、校則を知らないわけではないだろう? 番を解消することが、唯一残された道だったが……残念だが、きみに下す処分は覆らないと考えた方がいい」  校則にも記載されている、番を作った場合の処分。  翔太に突きつけられたのは、『退学』の二文字だ。 「今日から一週間、自宅謹慎の後、処分を下す。わかったね?」 「……はい。失礼いたします」  一礼して、翔太は来た道を脇目も振らず真っ直ぐ戻った。  翔太を追い詰めた首謀者は、恐らく本城琉生。考えるまでもない。  優斗と今すぐ話がしたい。けれど、それは叶わない。翔太はあと一人、どうしてもこのことを伝えなければいけない相手がいた。携帯のアドレス帳を呼び出すと、通話ボタンを押した。

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