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第8話(R18)

「はぁ……」  亘理は酷く疲れたような顔をして、自分の部屋のベッドの上にいた。  枕元に投げるように置いてあったスマホの画面に触れると、今日は月曜日とのことだった。  亘理が黒木の店へカットに来たのは先々週の金曜日の午後だったので、あれから2週間弱が経った。  あれから10日。  亘理はそのうちの2回も黒木の夢を見て、過ごす事となってしまった。 「んっ……」  シャンプーをしてもらう時のように美容椅子が倒される。  その上に亘理はベストとシャツだけを着たまま、横たえさせられていた。ベストは既に亘理の首元まで捲り上げられ、その下に着ていたシャツのボタンは黒木によって丁寧にはずされていた。  本来、あまり人前では見せない筈の色素の薄い乳首も曝される。 「くろ……き、さん……」  羞恥で黒木の名前を呼ぶが、黒木は微笑みながら亘理の胸を優しく掬われるように触れられる。そして、鋏の中でも小型で、刃先の丸いミニシザーで軽く鋏んだ。 「あぁ、あっ……」  勿論、黒木とて亘理の乳首を鋏で切り取ってしまうという気ではなかっただろう。  痛みではなく、その鋏の刃の冷たさと黒木に穴が開くほど見つめられる恥ずかしさ。それに、もしかしたら、黒木の気が変わって、乳首が切り取られてしまうかも知れないという恐怖。  それらで次第に芯が通った亘理の乳首を黒木は躊躇もなく押し潰した。 「あぁッ!!」 「感じていらっしゃるようで何よりです」  黒木の指にもだが、その揶揄に亘理の下着で守られた尿道口は微かに震えてしまった。  黒木はその事に満足だと言わんばかりに、今度は先程の小さな鋏をシザーケースのポケットへ無駄のない動きで仕舞うと、臙脂色の髪ゴムを取り出した。 「な……に……?」  白亜のように美しい色をした肌の亘理に臙脂はよく映えるが、本人には意図が分からないようだ。 「髪ゴムです。これで……暫く出すのを我慢していただきます」  何を出すのを我慢するかは黒木の口から出る事はなかったが、おそらく、言うに憚られるものだろう、と亘理は頭のどこかで思う。  黒木は亘理の陰茎をトランクスの中から引きずり出すと、髪ゴムで尿道管を圧迫するように髪ゴムを2重3重と輪にして巻きつける。下着の中で握り込まれたのにも亘理は強い衝撃を受けたが、その小振りの性器は勃起し、亘理の震える身体とは垂直に伸びていく。 「アっ……き、きつ……ぃ……きつ、い……です」  その苦しさに亘理は息を詰める。  黒木は手つきだけでなく、1つ1つの動作も乱暴ではなかったが、やっている事がやっている事だけに亘理は痛みからは免れなかった。 「すみません。でも、もっと気持ち良くしてさしあげますから」  と、黒木は言うものの、亘理はどんなに性器へ愛撫を与えられても、精液は出せない。仮に出たとしても、小針で刺した穴ほどの尿道口の隙間から液体は滲み出る程度だ。亀頭から精巣にかけて下半身に熱がじりじりと迫ってきて、何もかも溢れ出てしまうのではないかと思うような感覚が堪らない。  だから、亘理としては黒木の言うような、更なる快楽よりもすぐに手にできる快感が欲しかった。 「いい……んです。もぉ……じゅ、十分……」  相変わらず、亘理の両手首は固定されたままで、亘理は手枷のような皮のベルトを軋ませている。  そんな亘理に黒木は優しく眉毛を顰めた。 「亘理さん、暴れないで。傷になります」 「だっ、て……くるし……っ、い」  その亘理の悲痛な言葉で、黒木の指が亘理の精液を塞き止めている髪ゴムをはずせば、亘理は射精できた。  しかし、黒木は亘理の左の足首に触れ出した。 「ぇ……」 「もう少し、です。もっと良くなります」 今までは亘理の両足首も美容椅子のフットレストに足をつけた形で固定されていたのだが、今は膝を折るようにして、椅子の上に乗せられる。 「あぁ……」  ただでさえ、外気に触れて、ぴりぴりとした感覚が亀頭へと走るのに亘理は分娩をする妊婦のように股を開かされる。黒木は続けて、亘理の足首を先程、留めていたベルトよりも長めのベルトを使って、同じようにフットレストに固定されてしまった。勿論、そのベルトもきつく締めつける事はないが、拘束の意味をなさないほどは緩くはない。  亘理の会陰部は何の防備もなく、黒木に向かって曝されていた。

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