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第28話(R18)
李がこの部屋を出ていって、おそらく、それ程、時間は経っていないだろう。
ただ、この部屋に入って、時間の間隔が狂ってしまった亘理にはそれは何時間、何日と長い時間に感じた事だろう。
そんな中、黒木はパンツのポケットから濃紺の髪ゴムと整髪料の入ったボトルのような形をしたものを取り出す。
「亘理さん。苦しいでしょうけど、出してばかりよりは楽だと思うので……」
亘理の尿道口にはまた白く濁った液体が顔を覗かせるように滲み出し始めている。黒木は先程、ポケットから取り出した髪ゴムを捩って、1回り小さな輪を作った。
そして、それを亘理の陰茎にくぐらせると、また同じ様にゴムを捩って、輪を小さくしていく。
「あ……ぅん……」
これではいつか夢で見たように射精をする事はできない。
そんな亘理を尻目に黒木はポケットから取り出したボトルの蓋を開ける。ボトルの口からは無色に透き通る、粘り気のある液体が垂れて、黒木の掌を濡らす。
「亘理さん。ローションです」
黒木は亘理が不安がらないように、透明の液体の正体を明かすと、掌を濡らしていた液体を指で静かに擦り合わせるようにする。
そのようにするのは勿論、亘理にとって冷たくないようにする為だ。
「くぉき……くろき、さ……ん」
亘理の声は嬌声を上げ続けていて、途切れるだけではなく、もう掠れ掠れになっていた。
黒木はまた亘理の頭を軽く撫でると、その肛門の窄まりへ人差し指を差し込んだ。
それは優しさの中にぐっと荒々しさを持った指。その指が亘理の腸壁に沿って、押し進められるのとローションの滑り気に合わせるように亘理の身体も跳ねる。
「ああっ、ああっ!」
こんな風に声を上げ続けているのは李に盛られた媚薬のせいなのか。それとも、入ってきた指が黒木の体温で暖められたローションを纏っていたからか。
亘理は必死に全ての気持ちを殺し、揺れすぎて、まともに機能していない眼球に黒木を映そうとした。
「アぅっ!」
おそらく、黒木の指は亘理の性器の裏にあるだろう前立腺に届いたのだろう。
一部分だけ僅かに膨らみを帯びたその箇所を優しく、時に、荒々しく黒木は亘理の反応を見て押した。
「かぁ……あァ……!!」
それは掠れていて、悲鳴のような声だった。が、その艶で、聞いた者の下半身の臓器に甘く響いてくるようだった。
勿論、黒木もその例外ではなく
「亘理さん……。俺は、俺は……」
黒木は亘理へ向かって呟いたが、何度も何度も捧げた愛撫にとうとう気をやってしまった亘理には聞こえなかった。
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