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第2話
今夜は、いつになく昂ぶっていた。体内から獣じみた劣情が湧き立つおかげで、XLサイズの避妊具が少し窮屈に思えるほどに膨れている。……はて、今日はどこかで精力増強成分のある食べ物を口にしたか。覚えがない。第一、そんなものに頼るような歳ではなく、まだまだ現役だ。
まぁ、いい。それよりもこういう時は必ず、いつも以上に欲が生まれてしまうものだ。
「……ねぇ、ゴム外してもいい?」
紅潮したポールの顔がさらに赤くなった。それから、ふいと目を伏せ、わずかに思案するような表情を見せる。乱れた息の音だけを響かせ、彼はしばらく黙った。
ノースキンでのアナルセックスは、衛生上まったく宜しくない。性病にかかるリスクが格段に上がる。医者として見過ごせない行為に、医者である自分が及ぼうとしているのは如何なものか。そう思いながらも、逸る欲望を抑えつけ、ポールからのイエスを待つ。……やがて、「いいよ」とか細い声で了承したポールは、もぞもぞと両脚を広げると、先ほどまでペニスを食んでぱっくりと空いた穴を晒してきた。
くちくちとローションのぬめった音をさせ、浅い伸縮を繰り返しているその場所に、視線が吸い寄せられる。これまでも何度となく目にしてきた光景だが、何度見ても蠱惑的でかわいくて、思わず生唾を飲む。ちらりと見やったポールの顔はそっぽを向いており、居たたまれないと言わんばかりに目と口がぎゅっと結ばれていた。
恥ずかしがる姿にも、たまらなくそそられる。舌舐めずりをしながらショーンはコンドームを取った。陰茎がたわみ、むっとした熱と青臭さがそこから逃げるように漂う。カウパーで濡れた竿を右手で何度か扱きつつ、左手にあるのびきったゴムをシーツに横たえると、ポールの脚の間に入り、そして物欲しげに蠢いているそこに、ゆっくりと腰を押しつけた。
「……あ、ッ……あぁっ……!」
ポールは腰をくねらせ、艶やかな声をあげながらショーンを受け容れる。ショーンのペニスが奥へ奥へと進んでいくにつれ、腸壁がぴったりと絡みついてくる。……熱い、ひどく熱い。繋がった箇所だけではなく、身体中がむせ返り、芯から溶けてしまいそうだった。
0.03ミリの薄い隔たりがなくなるだけでこんなにも違うものだったか。最後にこのいけない行為に及んだのが随分前だったため、新鮮さがあり、非常に昂ぶる。根元まで埋めたところで動きをとめ、ポールを見下ろせば、彼も千切れた嬌声を漏らしながらこちらを見上げ、目を細めていた。
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