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第3話

 南国の熱帯夜のようにその眼差しはじっとりとしていた。きっと自分も同じ目を彼に注いでいるのだろう。ショーンは背中を曲げ、ポールの顔の横に両膝をつくと、吸い寄せられるように彼の唇を塞いだ。 「――……君のなか、すごく熱い」  唇同士が触れるか否かのところで、吐息を震わせながら口にすれば、ポールはうっとりとした表情に面映ゆそうな微笑を滲ませ、「貴方のだって」と囁くように言った。丸っこい目を伏せ、おもむろに伸ばした両腕を背中に回す。そして、胸がいっぱいだと言わんばかりにはーっと息を吐き出すと、愛おしげに名前を呼んでくれた。 「……ん、動いてもいい?」  数秒の間があってから「いいよ」と返ってきた。ショーンはゆっくりと小さく腰を揺すり始める。腸壁と竿が擦れ合い新たな熱が生じ、淡い快感が腰のあたりに広がった。 「……あ、っ……ァ……ん……」 「……っ、は……」 「あぁッ……はぁ……、ぁ……」  首を小さく仰け反らせながら、ポールは吐息をたっぷりと含んだ甘い声で啼く。普段はやや低めの澄んだ声色だが、こうしてベッドでもつれ合っているとハスキーボイスの女性のような声を出し、それがとても艶やかだった。わざとらしさは一切なく、本人曰く「出したくないけど、勝手に口から出てしまう」らしいその声で、耳のなかをねっとりと舐められるのが好きだった。  もっと聞きたい。もっと啼かせたい。だから、もっともっとよがらせたい。そんな欲求が腹の底から湧き上がり、かさを増していくのを感じながら、ショーンは浅い抽挿を徐々に深くし、速めていく。それから、ポールが好む場所――前立腺や結腸を張りつめた亀頭でぐりぐりと抉り始めれば、ポールは身体を大きくくねらせ、ひときわ高い声をあげた。

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