5 / 13
5
「――つまりこの子は、高梨さんのお姉さんの子供なんですね」
俺の作った特製パフェを食べている美織ちゃんを見つつ、俺は高梨さんに問いかける。
「……そうだ」
高梨さんはパフェに夢中なようで、スプーン片手に上の空な返しをしてくる。
俺の分は見事に美織ちゃんの分へと、シフトチェンジしてしまったが致し方ない。
本命の高梨さんが食べてくれれば、それだけで満足だ。
「美味しいわ。川神。やるじゃない」
貴族ごっこの抜けきらない美織ちゃんは、俺に向かってスプーンを向ける。
「それはそれは。光栄です、お嬢様」
笑顔を向けると、美織ちゃんは満足そうに再びパフェへと意識を戻していく。
大口開けて、バナナとクリームを一緒くたに食べる姿は貴族とは程遠い。
「別に隠す必要ないじゃないですか」
俺は少しむくれてしまう。そんな来てすぐに、追い返す真似をする必要なんてないはずだ。
「……遊びに付き合う姿をなんて、見られたくなかったんだ」
言い訳しながら、眉間に皺を寄せて苺を口に運ぶ姿はなんだかシュールだ。それに口元も微かに緩んでいる。
もっと美味しそうに食べてほしいのに、美織ちゃんの手前だからか堪えているのかもしれない。
それに視線をずっとパフェに向けられるところを見ると、気に入ってはもらえているようだ。
「いつまで預かるんですか?」
「一週間ほど」
「えっ?」
一日や二日の話じゃない事に驚く。そんなに長い期間、この二人は上手くやっていけるのだろうか。俺の方が不安になってしまう。
ともだちにシェアしよう!