8 / 11
オマケ
我が名は、アマテラス。
全知全能の神である。
そして、弟のツクヨミは……
真面目な性質で、務めはキチンとしているようだが、他の神々とは一切交わらず、夜の中に引き籠もったままである。
それゆえか。
少々、配慮の足りぬ采配もあるやにも聞く。
あれに欠けたものを補うような、何か良い手だては無いものか。
我は暫し黙考した。
闇に沈む静謐を乱す何か……
柔らかく、生気に溢れ、無邪気なもの。
いとけない子、では、あまりに荷がかちすぎよう。
それに、あれは大の女嫌いだ。
ううむ……。
ふと、祭壇に供えられたものに目がとまった。
子羊から初にとれたという毛の塊。
──ふむ。なるほど、これなら、手頃であろ
素朴な色の塊へ星の粒を一対と月桂樹の枝、夜露に濡れた薔薇の花弁を乗せ、軽く息を吹きかけてやると、もぞもぞと動き始めた。
──よし。
コレを弟の部屋の隅へと転がし、しばし様子を見るとしよう。
さすれば、きっと何か良い変化が起こるに違いあるまい。
なにせ、傲慢、不遜と言われ続けた我が情を覚えたは、ツクヨミ、お前が発端だったのだからな。
天真爛漫な羊が、生み出した主の手を離れ、思わぬ暴走を始める少し前のお話。
ともだちにシェアしよう!