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第3話

彼との共同作業 翔と榊は挨拶をしてから部屋のかたずけをさっさと済ませる。二人で夕食を取ったあとは翔は榊にバレないように寝たフリをしてしまった。 朝起きると榊は部屋に居なかった。 翔本人は榊と仲良くするつもりも無い、だから気楽に朝食を取り部屋に戻ると榊はもう登校した後だった。 嫌われたならそれでもいい一人の方が都合がいいと翔は思った。 「でも、クラスに行ったら後ろの席にいるんだよなぁ…」一人呟くと支度をして部屋を出た。 同室なのにまだ挨拶をしていない。何て声をかけていいか悩んでる内に教室に着いてしまった。 「よう!おはよう。」 突然後ろから声をかけられて翔はびっくりした、そこには先に行っているはずの榊が立っていた。 とびっきりの笑顔で…。 何で先に行ったはずのかれが背後にいるのか気になったが、おはようとだけ言って席に着いた。 担任が予鈴より早く教室に入って来た。 「おはよう、今から急だがクラス委員を決める、誰か立候補は居ないか?」 担任の話は急だった、殆どの生徒が下を向いてコソコソ話している。 翔も下を向いてやり過ごそうとしていた。 ガタンと椅子の音がして誰かが立ち上がった。 「自分がやります。」 声を上げたのは榊だった。 良かったこれで決まったと翔は小さく息を吐いた。 しかしいきなり榊はとんでも無いことを言い出した。 「長は自分がやります、副は斎藤君にお願いします。」 なんて事を言っているんだ! 翔は頭をブンブン振って無理だとアピールしたが担任は 「そうだな、長は副を推薦できるし同室なのは色々都合がいいだろう、他に意見のある奴はいるか?いないなら斎藤にお願いするぞ?」 結果、翔が副委員長になってしまった…。 これが榊と担任の陰謀とも知らずに…。

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