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第14話

球技大会当日 「おはよう翔!、バレーボール優勝しような!」 張り切っている榊に対して、あまり運動が得意ではない翔は「クラス優勝したいけど、バレーはいいかなぁ…最下位じゃ無ければ…。」などとボソボソと答えた。 ホームルームを終えて全ての生徒が校庭に集まって行く。 翔はため息混じりに『せめてみんなの邪魔はしない程度には頑張らないと。』と、考えた。 「ほら、俺たちあっちのコートだとよ!早く行こう!」 翔は榊に呼ばれて急いで走って行った。 「終わった…。」 翔はコートの中で座り込んでしまった。 二位とは頑張った!自分を褒めてやりたいとタオルで顔を拭いた。 榊は本当に優勝を狙っていたみたいで悔しそうな顔を翔に向けていた。 「終わって良かった!って顔してるぞ。ホント体力が無いんだなぁ、ほらいつまで座っているんだ。立てないんなら、俺がお姫様抱っこしてやろうか?」 榊は翔の手を取ると引っ張って立たせた。 「翔、顔が真っ赤だぞ!」言われて翔は手で顔を隠した。 「もう、からかわないで!」二人はバレーコートを後にした。 他の競技も終わりに近ずいていた。 バレーボールほど好成績ないみたいだった。 クラス委員は閉会式の準備があるから集まらなくてはいけない。 「夏目、そろそろ行かないと時間だよ。」 「そうだな、翔、悪いんだけど俺バスケ最後まで観たいから先に行ってて。後からすぐに行くから!」 「わかった。遅くならないでね!」 翔は先に閉会式の準備に行くことになった。 確か体育倉庫の片ずけをしてから朝礼台に集合だったはず。そう思い足を進めて行く。 「あれ?早くきすぎたかな?」まだ誰もきていない。 「斎藤だな?」 不意に声をかけられて振り返る 「うっ、んっ、んっ、はな…せ…」 急に布で口をふさがれたツーンと薬品の匂いがした。 視界がぼやけて立っていられない… 『夏目、助けて…」 必死に手を伸ばしたが、空を掻いただけでそのまま地面に倒れた。

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