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第34話

動画 かけるクン出てこなかった。しかも榊が来るなんて、予想外だ! もう少しで見つかるところだった。 危ない危ない。 榊にもかけるくんの可愛いところ見せてやろう! どんな反応するか楽しみだ。 かけるくんのアドレスはこの間調べたし、今なら榊も部屋にいる。 さあ、どうなるか! 翔がいろいろ考えていると静かな部屋に携帯の着信音鳴った。 翔の携帯からだった。 「翔の携帯じゃないか?見るか?」榊が気付いて翔に携帯を渡した。 翔は、画面を見ても誰からかわからなかった。メールの件名は『可愛いかけるクン』と出ている。 僕のこと⁉︎ 翔は恐る恐る動画を開いた。 「あんっ…いやああっ…やめて…」 部屋に僕の淫らな声が響いた。僕は急いで携帯の画面を消した! 「な、何これ…いや…!嫌だ」 もう嫌だ!誰か助けて…夏目に聞かれた! 汚れた僕を夏目に聞かれた…。 翔は携帯を部屋の壁に向かって投げつけた。 ガシャっと音がして床に落ちた。 「ハア…っつ…ハア…ハア…」翔は呼吸が苦しくなり胸を押さえてベットの上で身体を小さくした。 『どうして…あの動画が…?』翔は荒く呼吸を繰り返しているが、吸っている筈の空気が肺に入ってこない。 吸えば吸うほど苦しくなってどうしたらいいかわからない。 「翔!しっかりしろ!落ち着いて…大丈夫だから、ゆっくり息をして!」 榊が翔の背中をさすりながら、呼吸を促していく。 過度なストレスで過呼吸になってしまったんだ。 「翔…落ち着いて何にも心配は要らないから」榊の声に次第に翔の呼吸は静かになった。 翔の様子を確認して榊は携帯を拾った。 幸いどこも壊れてはいないようだ。 「翔…俺が携帯見てもいいか? 絶対に翔の事を嫌いになんてならないから!」 「ほんとに? 僕のそばにいてくれる?」 「約束するよ!何があっても翔から離れない!」

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