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第35話
これからの事
榊は翔から携帯を預かると動画を開いた。
『あぁっ…いや…もうやめて…んぁ!イ、イク、イっちゃう!』
そこには翔の淫らな姿が映っていた。 翔は耳を塞いで榊の隣で震えて泣いていた。 そんな翔の髪を撫でて抱きしめた。
「大丈夫だ。俺を信じろ!」榊の言葉に翔は頷いた。
榊は自分の携帯に動画を転送して翔の携帯から削除した。 相手のわからないアドレスは着信拒否に設定した。
「翔、お前を襲った奴の名前知ってるか?」
「知らない…でも同じクラスの人だと思う。」 翔は震える声で答えると榊の服を握りしめた。
「翔…翔の事は俺が絶対に守る。 そばを離れない。 翔も一人で悩んだりしないでくれ。 なんでも俺に話してくれ。 約束だ。」
「うん…わかった。 ありがとう夏目」
榊は、翔の頭を撫でながら今後のことを考えていた。 流石に何日も学校を休ませるわけにはいかない。
でも、登校すれば犯人がわかる。どうしたものかと思案しているとグーと翔の腹が鳴った。
「何か食べに行こうか! 」
榊はくすくすと笑いながら聞いた。
「ごめん…なんか榊にそばにいてもらえて、安心しちゃって。」
恥ずかしそうに俯いている翔をもう一度抱きしめると、ベットから立ち上がらせた。
「そろそろ夕食の時間だし、食堂に行こうか? 」
時計を見るともう五時を過ぎていた。 どうりで廊下が騒がしい筈だ。 二人は私服に着替えると廊下に出た。 翔は周りを見渡して小さく息を吐いた。
「どうした? 心配なら部屋で食べるか?」
「んー大丈夫、夏目が一緒だし…」
「無理してないか? そばにいるからな!」二人は並んで廊下を食堂まで歩いた。
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