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第37話
翔の護衛
榊は、音声を消した翔の動画を竜崎に見せた。 眉間にシワを寄せて口元に手を寄せて静かに動画を見ていた竜崎はもういいと手で遮った。
「ひどい事するなぁ。で、その斎藤は今どうしてるんだ? 一人なのか?」
「あぁ、寝てるよ。 今のところ落ち着いてる。」
しばらく二人は黙ったまま考え込んだ。 口を開いたのは竜崎だった。
「確認するが、斎藤にはお前の気持ちを伝えることができたのか? 」
榊はにっこり笑って答えた。
「伝えたよ。 いい返事ももらっている。 だから…だからこそこんなことをした奴を許せない。 」
「わかった。 手を貸そう。で、目星はついているのか?動画には顔は写ってないぞ。 そのアドレスに手がかりがあればいいが、変えてあるだろうし。」
「いや、おかしな行動をしている奴はいる。 」
「斎藤に聞けないのか? 目隠しはされて無かったよな? 顔、見てるだろう? 」
当たり前の事を聞かれて榊は黙った。
「翔は、俺に知られるのが嫌で死のうとしていた。顔は見ているだろうが…話してくれるかわからない。」
竜崎はため息をついた。
「俺の役割は?何をすれば良い?」
「翔の護衛を頼みたい。 俺が奴らを特定するまで翔を見ていて欲しい。クラスの中に犯人がいると思うがはっきりしない…その間…」
「いや、俺が犯人を捜す。夏目は斎藤についていてやれ。その方が奴らも手が出せないし、俺はクラスが違うから護衛は難しい」
その返事を聞いて榊は頭を下げた。
「夏目が頭を下げるなんて、よほど大切なんだな。わかった手を貸すから、今後の事はメールで打ち合わせしよう。 あんまり斎藤を一人にしとくのは心配だからな。」
二人はそれぞれの部屋に戻った。
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