41 / 75

第41話

登校します 身体が浮くのを感じて目が覚めた。 翔が目を開けると榊が翔を抱き上げていた。 「夏目?何?」 「何ってお風呂だけど?」 「一人で入れるよ!下ろして」 「一緒に入ろう、後ろも綺麗にしないと。」 「自分でできるよ!おふろぐらい入れるよ!」 お尻を撫でられて 「ここ、掻き出して綺麗にできるのか?ぐりんと指を入れて…」 「う…できない…」 「じゃあ、仕方ないね!諦めな!」 「洗うだけだからね!もうしないからね!」 「ハイ、ハイ。努力するよ?」 「なんで疑問系なの!」 翔の叫びを無視して榊は翔を抱いてバスルームへ足を進めた。 久しぶりといっても休んだのは二日間だけそれでも翔には色々ありすぎてもっと長く感じた。 学校には風邪だと伝えてあるから、みんなから大丈夫か?と声がかけられ少し気まずい。 榊に背中を押されて席に着いたが何か落ち着かない。 翔は深呼吸をして周りを見まわすと一人の生徒と目があった。 あの時の生徒だ、『田辺』榊がこっそり耳打ちしてくれた。 翔はすぐに目をそらした。 僕の反応を見て夏目にも、あの時の生徒が田辺だと気づいただろう。 『隠し事はするな。』そう言ってくれた夏目を信じている。 すぐに目をそらしたが田辺はこちらを見てニヤついている。 身体が震えるが夏目がさすってくれて僕は安心した。 「翔…田辺が翔を襲った犯人なのか? 他の奴の顔を覚えているか?ここに居るか?」 色々聞かれるが俯いてしまい翔は答えることも周りを見渡すこともできない。 「しばらく俺のそばを離れるなよ」 榊は翔の耳元で囁くと自分の席に着いた。 その後何事もなく午前の授業が終わり昼食を取るために屋上に行った。 今日は購買で弁当を買って二人で食べる事にしていた。 自由に使える屋上は意外と穴場で誰もいない。翔は榊と並んで扉横の人目につかない場所に座った。 誰もいなく榊と二人っきりの翔はやっと落ち着けたみたいで緊張していた顔もほころんでいた。 榊がクスっと笑って翔の頭を撫でた。 「やっと元気になったな、」 翔も、うんと頷いた。

ともだちにシェアしよう!