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第46話

「おい誠二、昼間はどうしたんだ。お前らしくない。」 ここは寮の給湯室、榊は竜崎が昼間翔に言った言葉がいつもの竜崎らしくなく気になって呼び出していた。 少し黙ってから竜崎が口を開いた。 「田辺たちだけじゃないんだよ。今回の事件に関わっているのは…。まだ上がいる。 三年らしいんだがまだはっきりしない。」 竜崎の声は重い。 「田辺たちを動かしていた奴がいるのか? 学校側は知っているのか?」 榊は静かに聞いた。 「多分知らない。 田辺もその事に関しては喋っていない。そいつらがまだ斎藤を狙っている様なんだ」 「だから昼間あんなにきつく翔にあたったのか。」 榊はため息をついた。 まだ翔が狙われているとは限らない。だが安心はできない二人は部屋に戻った。 「おかえり、どこまでジュース買いに行ってたんだよ。課題教えてくれないとねれないよ!」 翔は机に向かって榊に文句を言っている。 「ごめん、何にしようか悩んじゃって。 で、どこがわからないんだ。」 そう言うと榊は翔に覆いかぶさる様に後ろから抱きしめた。 「重いよ、ここなんだけど数学の問2公式を使うの苦手なんだよね。」 ノートのページを指差して見せた。 「数学で公式が苦手て致命的だろ。」 サカキのもっともな意見に翔はむくれながら、教えて!ともう一度お願いした。 「お前は絶対に守る」 「何?なんか言った?」 小さな榊のつぶやきを翔は聞こえなかった。 「はいはい、数学ね。教えますよ、言っとくけど授業料は翔と一回な!」 翔は榊の意味を理解して顔を赤くした。 「ただとは言わないけどお手柔らかに…」 その答えに榊はキスで答えた。

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