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第53話
特別教室の校舎に近ずくと榊は翔の携帯を見つけた。 地面に放り出されて画面は割れている。 あたりを見渡すと、林の奥に人影が見える。
「翔!翔!」
榊は名を呼び林の中に入っていく、翔じゃ無いのかそう考えながら近ずくと複数の人の話声が聞こえてきた。
「君が、斎藤翔クンかなぁ? よくきてくれたね。一度君と話がしてみたかったんだ。」
誰かの話し声が聞こえる、顔は見えないけど翔に話しかけているようだ。 榊は静かに声のした方に近づいた。
「僕を呼び出してなんのようですか?要件を言って下さい!」
震える声で翔は答えている。 榊からは翔の姿は見えないが、相手の顔はバッチリ見えている。 携帯をカメラに切り替えて相手を写した、三年であることは校章の色でわかるが顔に覚えは無い。 写真を手に入れたからもう隠れて聞いている必要も無くなったので榊は相手の前に姿を見せた。
「夏目! 来てくれたんだ!」
翔の声は安堵に変わった。
「遅くなったな。 どこまで行っていたんだか、一緒に帰るぞ!」
榊は振り返ると三年生をにらみつけて翔の手を引いて林の出口に向かった。
二人は無言のまま手を繋ぎ歩いている、幸い二人の後をつけてくる影もなかった。
寮の近くまで来るとやっと榊は歩みを緩めた。
「翔、無事でよかった。 頼むから一人で行動はするな!」
「ごめん…手紙見てどうしたらいいかわからなくて…夏目に連絡しようと思ったけど繋がらないし…せめて相手の話位なら聞けるかと思って…」
言いながら翔は涙が出ていた。
「本当は…怖かった…あの事をバラされたく無かった。 」
榊は翔の手を強く握ってまた寮まで急いだ、翔は俯いたままその後をついって行った。
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