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第64話

二人は寮に戻ると竜崎からのメールを確認した。 『相手は三年生、クラスはB、 名前は不明 ただしこの事に関して関わっている人物は複数 以上 』 簡単なメールだった。 名前がわからないのは残念だが、あの写メだけでここまで探したんだから大した物だ。 「夏目、竜崎君って凄いね!探偵みたい。」 「翔は意外なところで感心するんだな。 誠二に任せとけばすぐに名前と目的がわかるだろう。」 翔は目をぱちくりさせながら榊の顔を見た。 「いつもこんな事と竜崎君にさせてるの?危なくないの?」 翔の疑問はもっともだ。 普通の高校生はこんな事をしないだろう。 「たまにな、誠二は大丈夫だよ。見かけより腕が立つ、それに機転が利くからな。 まぁ持ちつ持たれつかなアイツが俺を使う時もあるし、」 「二人とも気をつけてよ! 怪我なんてしたら嫌だからね!」 翔の顔が今度は心配だ!ってゆう表情に変わった。 『百面相みたいだなぁ』榊は口には出さなかったが顔がニヤついてしまった。 「また、変な事考えたでしょ!」 「そんな事ないぞ、うんナイナイ」 「どうだか…」 二人は制服を着替えてそれぞれ過ごした。 翔は今日の課題、榊は少し出てくると言って部屋を出て行った。 もちろん外出するなよと言いつけて。 「もう、古典なんて何でやらなきゃいけないんだ。 現代人には必要無いよ!」 翔はイライラしながら課題に向き合った。 「徒然草…清少納言…つれづれなるままにひぐらしすずりにむかいて…」 ブツブツ言いながら書き取りしていた。 「これを5回…5回…い…嫌だ〜!」 課題に悶絶しながら榊が帰って来るのを待った。 だがなかなか帰って来ない 「夏目も同じ課題が出てるのにやらなくていいのかなぁ?」 自分が黙々?と頑張っているのに帰って来ないのが少し狡いと思い出した頃、やっと榊が帰ってきた。 「ただいま! 何だ?へんな顔して」 「おかえり、随分のんびりしてたんだね!夏目は課題やらなくていいのかなぁ!」 少し嫌味で翔が発した言葉に榊が自慢そうに答えた。 「古典の課題なら授業中に済ませたよ。 何だイラついてたのは課題の所為か」 榊が答えて余計に翔は落ち込んだ。 「もう終わった? ほんとに?」 「何だ?疑うのか?ほら」 榊は翔の手に古典のノートを渡した。 「ほんとだ…終わってる…どうして?」 「どうしてって、古典の先生、新しい単元に入る前に書き取り5回させるだろ。だから先に終わらせたんだよ」 なんて頭が回るんだ…翔は榊にノートを突き返した。

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