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第70話
小さくノックの音が聞こえて榊が立ち上がった。 翔は大人しく座って、榊の後姿を見ていた。
「何があった?」
竜崎の声と共に榊が写真を見せた。 竜崎は顔をしかめて翔を一度見ると榊に向き直った。
「これは?」
「今、ドアの隙間に挟んであった。」
「だから斎藤がこんな事になってるのか…」
榊と竜崎の会話に翔は加われ無かった。 とても喋れる状態ではない。
「あの時のデータはどうなってる? 誠二に丸投げで悪かったが、教えてほしい」
「田辺のモバイルからは消してあるし、保存されてないのは確認した。ただ…俺が消す前に第三者に送った可能性もある、田辺本人は否定していたが本当かどうかはわからない」
「そうか…わかった」
「すまん…もっとしっかり確認しておくんだった。俺の落ち度だ」
竜崎は頭を下げた。 翔は首を振りながら
「竜崎君の所為じゃ無いよ!」
榊は溜息をつくと、今後の事を相談しようと提案した。 翔も竜崎も頷くとそれぞれ座った。
「まず、誰が何の目的でこれを持ってきたか? 関わっているのは何人いるのか? だが…やっぱり例の三年が関わってるのは確かだな。 以前翔を呼び出した時この事を知っている感じだったし」
榊の言葉に二人は肯定の意味で頷いた。
「俺が立ち聞きした感じでは、こんな斎藤を苦しめるような事をするとは思わなかったけど…怪しい人物ではあるな」
「少し急いで相手の事を調べて欲しい。今回の事がどう出るかわからないから用心して欲しい。面倒かけて悪いな」
「大丈夫だ、今回の件では俺も詰めが悪かった。夏目は斎藤についてやれ。斎藤は今以上に気をつけろ、いつも夏目と行動してろ」
「わかった、竜崎君も気をつけてよ、でも今以上に夏目と一緒て言うのは…」
これ以上榊に迷惑をかけたくなくて翔が渋っていると榊が怖い顔をして翔を見つめた。
「本気でそんな事を言っているのか!さっきお前はあんなに動揺していたじゃないか! あんな姿を俺以外にも見せる気か!」
榊の言っている事はもっともで翔自身もそれを言われるのは辛い。
「わかったよ、夏目のそばを離れない、なんでも相談するよ」
その言葉を聞いて榊も竜崎も頷いた。
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