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第72話

「翔、翔朝だぞ。話があるから起きてくれ」 榊に揺すり起こされて目を擦りながら身体を起こした。 「おはよう、もうそんな時間? 」 翔は時計を見た。まだ六時過ぎたところだった、いつもより三十分も早い 「いつもより早いね?何かあったの?」 榊の顔は難しそうな顔をしているし、いつも起きて直ぐに身支度をする榊がまだパジャマのままでいた。 「翔、今日は俺たちは『風邪』になる。そして学校は欠席だ」 「へ?何?ごめん、まだ僕寝ぼけてるみたい」 翔がすっとんきょうな声をあげてもう一度榊に聞き直した。 「あのな…昨夜誠二から連絡があったんだが、翔に変な噂が立ってるらしい」 「噂?僕の?あのどんな噂か聞いてもいいかな…」 榊は翔が動揺しない様にあえて明るく伝えた。 「え!誰がそんなの流してるの?どうしよう…」 落ち着きなくうろうろし出した翔に落ち着けと伝えて、欠席を伝えた。 「でも、噂に負けて欠席ってなんかイヤだ。僕は何もやましい事はないから登校するよ」 榊は悩んだ、噂の事を聞いてそわそわしていたのに大丈夫なのか…ふと翔の手元を見ると小さく震えている。 「無理しなくていいんだぞ」 「うん…わかってる、大丈夫!夏目ありがとう」 「まぁ、俺がそんな噂は蹴散らしてやるからな、じゃあ一緒に登校しよう」 ここは翔の気持ちを尊重して登校する事にした。 携帯でその事を竜崎に連絡するといつも通り支度に取り掛かった。 竜崎に言われて警戒していたが何事もなく教室まで来れた。変な視線も会話も聞こえてはこない…竜崎の思い違いか? 「斎藤…えっ!、なんだよ、うん…」 どこかで翔の名前を話している声がした。 榊が辺りを見渡すと廊下の端の方で誰かが携帯で話している。 相手は電話に気を取られて榊が近づいても何か話している。 電話が終わるのを待ってから榊がこえをかけた。 「今、斎藤って聞こえたけど、何?」 榊の質問に驚いたのか、えっとか、うん…とか言っていたがニヤッと笑うと答えた。 「なんか俺の知らない奴なんだけど、斎藤って奴が男相手に売りやってるんだってよ。どんな奴なのか知らないが物好きだよなぁ!」 相手はそばにいるのがその斎藤だとは気ついていない。 その事に気づいた榊は翔を背中に隠すと 「誰から情報なんだ? 」 と聞いてみた。 「さぁ…今教えてくれたやつも又聞きみたいだし…なんか三年の先輩が話しているのをちらりと聞いたとは言ってたな。 なんだ、気になるのか?」 「イヤ俺は…」 噂を信じるな!っと言ってやろうとしたが榊の背中で榊のシャツを握っている翔に気付いて、「ありがとう、じゃあな!」 とだけ言って、翔を連れてその場を離れた。

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