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第73話

取り敢えず翔を連れて、使われていない空き教室に入った。 「大丈夫か?やっぱり噂は三年からだったな。どうする…早退にするか?」 翔の顔は青ざめていた。 連れてくるんじゃなかった…そう榊は考えた。 「寮に戻ろう…そんな顔では無理だろう」 榊は翔が持っている鞄を取ると榊の手を引いて教室を出て行こうとした。だが翔は動かない。 「どうした?行くぞ」 榊の言葉にも俯いたまま返事がない。 「翔?どうしたんだ」 再度榊が声をかけてようやく話し出した。 「迷惑かけてごめん、でも…」 「このままクラスに行くなんて言うなよ!」 翔の言葉に榊が被せた。 ここまで来て寮に戻るのはイヤなのは分かるがそれは榊が賛成できなかった。 「翔が悪くないのはわかっている。でもそれを知ってるのは俺と誠二だけだ。他の奴らはそんな事関係なく噂にざわつくんだぞ、そんな事俺は許せない。 逃げるみたいだが今回は戻ろう」 榊の言っていることも間違いではない。 だが噂に振り回されるのも違うだろう。 翔はもう一度榊に伝えた。 「やっぱり教室に行くよ」 榊は翔の顔を見つめて動きを止めた。 榊自身もこの行動が正しいかはわからないどうすればいいか…しばらくして口を開いた。 「わかった。教室に戻ろう」 何かモヤモヤするが最善の策が浮かばないのなら翔の気持ちを尊重しようと榊は考えた。 榊から鞄を受け取ると翔は深呼吸してから廊下へ出た。もうすぐ始業のチャイムが鳴る時間だから廊下にいる生徒はどこか慌ただしい。 「何かあったら言えよ」 そう言うと榊は教室へと歩き出した。 翔もその後をついって言った。

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