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第5話

朔太郎くんと馨さん 毛深いけど顔は爽やかイケメンな年下×体毛が薄い一重美人な年上カップル。 攻め→辻 朔太郎くん。大学3回生。馨から「朔ちゃん」と呼ばれてる。 受け→井沢 馨。大学院修士課程2年。淡泊そうな顔してるけど、セックス大好き。 バイト終わりに俺の自宅にやってきた朔ちゃんと夕食を済ませ、テレビの音楽番組を見て、それから一緒に風呂に入り、彼を浴室から追い出した後、直腸を綺麗になるまで洗い、そしてベッドで寝転がりながら俺を待っている彼の胸に飛び込んでいく。そんな日々を過ごすようになって、3ヶ月が経とうとしている。 ノンケで女好きだった朔ちゃんとゲイでネコの俺が、なぜ付き合うようになったのか。それを話すと長くなるのでやめておくが、今のところ、俺たちの関係は良好だった。 生まれ育った環境が違えば、性格もまったく異なり、活動範囲もついぞ重なることなどなかったはずの自分たちなので、付き合ってみると新鮮で、考え方や価値観でぶつかることもたまにあるが、擦り合わせられる部分は擦り合わせ、そうでない部分については一時休戦というかたちで寝かせている。いつかまた、ぶつかり合うことになるかも知れないが、今はこれで良いと思っている。 身体の相性は驚くほどに良い。これまで片手で数えられるくらいの数の男性としか寝たことがなかったが、彼とセックスするようになって初めて、自慰をしなくとも高みに昇りつめる経験をした。朔ちゃんとの行為はすごく気持ちがいい。俺が彼に骨抜きにされていることも少なからず影響はあると思うけれども。朔ちゃんも、俺の家に来るたびに俺を求めてくれるから、きっと同じように思ってくれているのだろう。朔ちゃんが気持ち良さそうに腰を揺すっているのを見ると、どうしようもなく嬉しかった。 節くれだった指とローションで解された穴に、薄さ0.01ミリの避妊具をつけた竿がずっぽりとはめられ、腸壁を擦られる。そこで生み出される快感と熱に、俺は夢中になっていた。 シーツに背中を預け、朔ちゃんと向かい合って絡んでいた。抱きしめた彼の身体に両手を這わせ、噴き出した汗で蒸れた肌がてのひらにひたりと吸いついてくるのを感じながら、俺はその手で朔ちゃんの尻を撫で回す。硬い弾力があり、割れ目から四方に広がるように、陰毛のようなしっかりとした体毛がたくさん生えている。朔ちゃんに与えられる刺激によがりながら、それを慈しむように撫でていると、彼の動きがふいに止まった。 「……馨」 「……ん?」 俺は朔ちゃんの顔を見る。「何? どうした?」 「前から思ってたけど、お前、俺のケツ毛触るの好きだよな」 あぁ、と声が出る。それから指先で朔ちゃんの毛を弄びながら、ふふっと掠れた笑い声を漏らした。 「触り心地が良くてさ、つい」 「ふぅん」 朔ちゃんは唇を少し尖らせると、ぐっと奥まで入ってくる。亀頭が結腸を押し上げる感覚に、ひゅっと喉が鳴り、背中がぴんと仰け反った。 「…っ……、毛深い人が、好きなんだ……」 朔ちゃんの硬い臀部にあった両手を広い背中に移動させ、彼から与えられた刺激に耐えるように、指を立てる。 「男らしくて、俺にはそういうところがないから、憧れるというか……逞しさを感じて、安心する……」 「確かに、馨はどこもかしこも毛が薄いよな」 そう言って、ニヤリと朔ちゃんの口角が曲がったのを見て、嫌な予感がした。そしてそれは即、的中した。朔ちゃんは俺の右腕を掴み、ぐいっと上げると、露わになった脇を見て、さらにニヤニヤと笑った。 「脇の毛なんて、生えたての中坊みたいだし?」 「う……」 そっぽを向き、掴まれた腕をどうにか下ろそうとしたが、運動嫌いの自分が、暇さえあればジムに通って筋トレに励んでいる朔ちゃんの力に勝てるわけもなく、ピクリとも動いてくれない。無駄な抵抗だった。朔ちゃんは俺の脇に舌を這わせる。ぬるぬる、ざらざらとした感触に、俺は小さな悲鳴をあげた。 「ひっ……や、やだ……、汚いって……!」 「……しょっぺー」 朔ちゃんがくぐもった声で笑った。「でも、美味い。お前の身体、どこもかしこもそうだ」 「馬鹿っ、へんた……あぁっ!」 空いた手で乳首を摘まれ、俺の腹に埋まったペニスは緩慢に動き始めた。びりっと痺れるような快感に、意識せず穴がぎゅうっと窄まり、朔ちゃんとさらに密着する。熱くて、びくびくと小さく震えていた。 「あはっ……い、いやだ、……はぁ……ッ」 「……んー」 「やだやだっ……やだ……ッ!」 くすぐったいような、気持ち良いような、はたまた気持ち悪いような、よく分からないけどこれはダメだった。俺は咄嗟に汗ばんだ朔ちゃんの背中にあった片方の手を尻に戻し、びっしりと生えている毛を毟らんばかりに掴んでやった。「いてっ!」と朔ちゃんは声をあげ、脇から顔を離すと、しかめっ面で俺を睨んでくる。 「……何だよ、せっかくイイ声で鳴いてたのに」 「う、うるさい……」 「ケツの穴舐めんのは良くて、脇はダメとか……いだっ!」 もう一度、体毛をぎゅっと握れば、ぷちぷちと何本か抜けた感覚があった。朔ちゃんの顔が痛みでさらに歪む。一物も、少し小さくなっていた。……ちょっとやり過ぎたなと反省したが、表層には出さない。右腕を掴んでいたの手の力が弱まったので、再び両手で彼の尻を触った。 「……脇、舐めながらだったら、中途半端にしか動けないだろ」 俺は目を伏せ、ぼそぼそと言う。それから、今度は意図的に中折れしかけている朔ちゃんのペニスに吸いついた。朔ちゃんが低い嬌声をこぼす。それを聞いて、胸が切なく締めつけられ、腰にへばりつくような疼きが広がった。 ……惚れたのは多分、朔ちゃんが先。相手に、よりどっぷりとハマっちゃってるのは、多分俺。いじわるで変態だけど、かっこよくて男らしくて、それでいて可愛い俺の彼氏。そんな彼とひとつになっているこの時間が、どうであれたまらなく大好きだった。 「もっと激しいのがほしい」 俺は朔ちゃんの耳元でねだるように囁き、耳朶を甘噛みする。「朔ちゃんので、いっぱいイかせて……」 「……、お前さぁ」 朔ちゃんがため息をつき、俺の顔を見た。顔じゅうが熱くて、あまり見られたくなかったけど、俺も彼のアーモンド型の優しげに垂れ下がった目を見つめ返した。餌に飛びつく3秒前の飢えた獣のような、余裕のない炯炯と光る双眸が眼窩に嵌め込まれていた。 「見た目とのギャップが激し過ぎ。エロいにもほどがあるわ」 「あ、ァ……ン……あぁっ……すご……!」 ペニスがずるりと入り口まで抜けていったかと思えば、腸が破れるのではないかと思うほどに勢いよく穿たれ、目の前に真っ白な閃光が走った。全身に強烈な快楽が巡る。繋がった箇所から、ローションの音と肌と肌がぶつかり合う激しい音が響き、俺は身体を大きくくねらせた。 「あんっ……ァ、あ……アアッ、……」 「……なんつー顔してんだよ」 朔ちゃんの顔に、恍惚と呆れが浮かび上がる。「俺のちんぽでメチャクチャにされるの、好きなんだな」 「すきっ……すきぃ……! さくちゃんのおちんちん、長くて大きくて、すき……ぁっ……きもちい……!」 後で思い出して、羞恥で死にそうなくらいのことを言ってしまったが、本心だから仕方がないとも思いつつ、俺は彼の強張った臀部を揉みしだき、手のひら伝わる体毛のもさもさとした感触にほっこりとした気持ちになりながら、痴女さながらに腰をうねらせ、ニヤニヤと嬉しそうに笑う朔ちゃんの唇にしゃぶりついた。

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