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はじめての告白
茅葺のしていることを目の当たりにしたらきっと自分は卒倒してしまうと佐原は確信を持ったのか、視線はずっと宙を浮いていた。
それを知ってか茅葺は佐原をリラックスさせるため優しく口付けてみたり、首筋や胸の周りに何度も唇を這わせたりした。
自分の体内に入ってくる指の違和感はどう足掻いても拭うことは出来なくて、でも茅葺を拒みたくなくて。どうにもならない自分に混乱して佐原の瞳には涙がずっと滲んでいた。
茅葺はそれに気付いているようで何度も佐原の名前を囁き続けた。名前を呼ばれた佐原は心細そうに両腕を茅葺の肩に絡めて、その肩に顔をうずめた。
そこから茅葺の甘い香りがして佐原は少しだけ落ち着くことができた。だが、腰を持ち上げられて反射的に身体に力が入る。
「泉巳……キスして」
不意にそんなお願いをされて佐原はやや拍子抜けしたけれど願い通りに唇を合わせた。角度を変えて何度も口付けると茅葺の長い舌が器用に口の中を這う。
舌を絡められて上顎を撫でられ、緊張している身体とは別に頭の中がじんわりと柔らかくなるみたいだった。
「――泉巳、大好きだよ」
「ん……」
茅葺が何度も慎重に指でほぐした場所にゆっくりと茅葺自身が入ってくるのを佐原は息を詰めて耐えた。
指とは比べものにならない圧迫感と痛みに佐原は涙が勝手にポロポロと流れた。
「痛ッ……、うっ」
「泉巳、大丈夫? しんどい?」
佐原の身体を案じて茅葺はすぐにやめようと後ろに退くが、正面からいきなり引き寄せられてバランスを崩し佐原に重なるように倒れる。
「大丈……夫、だから、しろよ」
「大丈夫じゃないよ、そんな真っ白な顔して……また今度にしよ、ね?」
「いやだ、今する……」
「泉巳――」
駄々をこねる子供のように佐原は茅葺の胸に張り付いて離れようとしなかった。その肩は初めての痛みに怯えて震えているのに当の本人は強がって辞めようとしない。
「えっと……、じゃあ、後ろ向ける?」
「えっ!!」
佐原があからさまに驚いて目を丸くすると、茅葺は申し訳なさそうに言葉を続けた。
「その方が……痛くない、から」
「わかった……」
佐原はおずおずと身体を起こすと言われた通り茅葺に背中を向ける。固く緊張して上がった肩をそっと茅葺が撫でて抱きしめる。背中に茅葺の胸がピタリと合わさるとそこから少し早く打つ鼓動が佐原に伝わった。
今どんな顔をしているのだろうかと気になって振り返ると、優しく微笑み自分を見つめる茅葺と目があって佐原は自分から唇を重ねた。
「――龍、俺も好きだよ」
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