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いとしい瞳

「ひゃっ、あっ……んっ、龍……ッ、強いっ……」  ほんのさっきまでは穏やかで優しい抽送だったはずなのに、佐原はシーツに背中を沈められ、上から強い力で何度も貫かれる。痛みはまだ少し残るけれど確実に違うものが今は心の大半を占めていて、佐原は茅葺に貫かれるたびに甘く鳴いた。  不意に大きな手で自分の完全に起き上がった場所を包まれる。 「ダメッ、そっ……」  茅葺は佐原の言葉など聞くつもりはないようで容赦無い強さでそこを擦り上げて敏感な先端の部分を何度も指で撫でた。  後ろは太い楔で穿たれ、前は執拗な愛撫でどこまでも攻められ、佐原は言葉を失い、おかしくなってしまいそうだった。 「あっ、ああっ……やっ、龍ッ、ダメッ」  あまりにも過ぎるその刺激に佐原の瞳から涙がポロポロと溢れ、唇はいやらしく戦慄き濡れていた。  茅葺は満足気に薄く笑ってそこを貪るように塞ぎ、美味そうに長い舌で中を蹂躙して回る。 「とぉ……、あ……」  何度も追い詰められて、佐原は全身の力がすっかり抜け落ち、瞳もぼんやりと虚ろだ。頭の奥がチカチカして自分の限界が近いのを感じた。  もう――と口をついて出そうになったその時にいきなり身体の中から熱いものがずるりと抜け出た。  突然のことに佐原の身体が驚いて腰が痙攣する。 「龍……?」  急に心細くなった佐原は、両膝をついて自分を見下ろす茅葺を不安そうに見上げる。茅葺は少し息を荒げてはいるものの、その表情は妙に落ち着いていて、何を考えているのか佐原には読み取ることが出来なかった。  じっと顔を眺めていたらまた熱い塊が無防備な自分の中に容赦なく入ってきた。びっくりして変な声が佐原から出た。 「な、なに……?」  今度は中に入ったまま一切茅葺は動かない。なんとなく焦ったくて、けど自分から何か行動を起こすほどの勇気はまだなくて、佐原は相手の顔を困ったように見つめることしか出来ないでいた。  少しだけ奥を突かれ、気持ちの良いところをゆっくり何度か掠られ、佐原は小さく鳴く。 「っ……。龍……、なに……?」  そう声を掛けるとまたずるりと抜かれた。  いい加減揶揄われている気になり、カチンときた佐原は上半身を起こそうとシーツに手をつく。その瞬間、茅葺の長い腕が佐原の両膝を掴んで胸に当たるほどに押し上げて来た。  バランスを崩して佐原はころりとまたシーツに背中をつける羽目になる。折り曲げた膝を少し開かれ佐原は、より一層顔を真っ赤に染めた。 「阿呆ッ! 馬鹿ッ! 何してっ……、辞めろよっ! やだっ!」  茅葺は緊張と羞恥でひくひくと戦慄く佐原の濡れた秘部をいやらしい笑顔でじっと眺めた。佐原からは抗議の声がしていたが、茅葺は知らぬ存ぜぬで長い指でそこを広げたり、内側を弄ったりしている。 「変態変態! こんなっ、むっつりだったのかよ変態茅葺! やあだっ!」 「――そうだよ。だから、泉巳には俺のことぜーんぶ知っておいて貰わなきゃ」 「もっ、わかった! わかったから離せよ! ひゃっ!」  抗議の声も虚しく、茅葺は一度で覚えた佐原のイイ場所を二本の指を器用に動かしては何度も攻めた。 「あっ! やっ! そこ、すんなっ」  必死に強がって見せるが、言葉とは裏腹に佐原の身体は中に入った指を嬉しそうに締め付けては、誘うように何度も強く吸い付いた。 「んーっ、んんっ、あーっ、龍……ッ」  抑えられていなくとも佐原の膝は開いたまま、だらしなくゆらゆらと揺れていた。後ろをたくさん弄られて、また自分の中心が熱を帯びていくのがわかる。  すでに無抵抗になり、無意識に恍惚の表情を浮かべている佐原は、自身の右手をゆるゆると伸ばし、腹についてしまいそうに起き上がっている茅葺の雄に触れた。  先端からはぬるぬると透明の雫が溢れ出し、佐原は確かめるように指で濡れた屹立を撫でた。細い指先が卑猥に濡れる。  佐原はゆっくりと視線をあげ、限界に近いであろう茅葺の顔をじっと見つめた。先程とは違い、茅葺の顔は余裕なさ気に少し苦しそうに歪んでいた。 「龍……、これ……」  願いを最後まで告げる間も無く、一気に奥深いところまで逞しいもので貫かれ、佐原はそれを必死に飲み込んだ。  佐原が何を伝えたかったのか、茅葺にはすでにお見通しだった。  そうなるように自らが何度も焦らして仕向けたのだから。  焦らした分、何度目か入り込んだその場所は今までで一番強く茅葺のものを締め付けては、離すまいとピッタリ吸い付くようだった。 「あーっ……ああっ、んーっ」 「――痛くない? 大丈夫?」 「んっ、うんっ……。ねぇ、龍……、気持ち、良い……?」 「うん、良いよ……」  優しく微笑みながら茅葺は佐原の頰に口付ける。佐原は必死に両手を伸ばして茅葺に抱きつく。 「いっぱい――しよ……。あの人、より……もっと、いっぱい――」 「うん……、泉巳のここで、いっぱいさせて……」 「うん――」  涙で濡れた睫毛が佐原の大きな瞳に掛かって震えていた。その顔をよく見たくて頰に手を添えて上を向かせる。目が合うと佐原は安心したように柔らかな笑顔を見せた。  親友の時には見ることは出来なかっただろう、とても柔和で綺麗な愛しい笑顔だった。 「――大好き、泉巳……。大好きだよ――

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