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つつまれた愛

「やっ、あっ……あっ、んっ……、もうダメ、ダメッ……」  佐原はうつ伏せになり、猫のように腰だけを高くされて後ろから何度も激しく茅葺に中を掻き回される。揺れている佐原の太腿や腹にはどちらの物ともわからない精液が伝い、淫猥に濡れていた。  顔を真っ赤に染めた佐原は抵抗する気力も余裕もない。ただひたすらに自分の中を割って入る茅葺の、愛情と呼ぶには可愛げのない猛々しく激しい動きに制御できない大きな声が、本人の意思とは関係なく何度も溢れ出ていた。 「もっ……無理、無理ッ、あっ、あっ……イッ……」  痙攣のような小刻みな震えが佐原の全身を走り抜け、その震えは中にいる茅葺にも強く伝わる。ぎゅうぎゅうと強く茅葺の雄を締め付けて佐原はベッドの上にもう殆ど色のない精を吐き出した。 「あー……、あァ……」  佐原はすっかり疲れきって瞼を伏せ、乱れた呼吸を整えながら横向きでベッドに倒れこむ。  勝手に終わったものだと佐原は安心してしまっていた。身体の中の消えない熱の塊が茅葺のものである事をふと思い出し、顔を起こしてそちらを振り返る前にまた強く奥まで打たれ、嬌声をあげた。 「龍! もう無理ッ、俺、死ぬっ……! もう、死んじゃうからっ!」 「――泉巳が言ったんだ……いっぱいしようって――」 「それはっ……」  佐原は言い訳の余地も与えられず、茅葺にその身体を何度も深く貫かれ、声が枯れるまで鳴かされ、独占欲の塊のように注ぎ込まれた最後の精を受け入れた。 「馬鹿!! 阿呆!! 変態!! スケベ!! ムッツリ!! 絶倫馬鹿!! 色情魔!! ケダモノ!!」  罵詈雑言とはまさにこれだな。などと、茅葺は呑気に目の前で怒髪天を衝く勢いで怒鳴る佐原を冷静に眺め、全く懲りていないらしくお湯でピンク色が濃くなった佐原の乳首をいきなり指で摘んだ。  星が出るかと思うくらいに強いビンタが茅葺の頰に刺さった。 「〜〜〜〜イッテェ!!!!」  狭いマンションの風呂場で、甲高く乾いた音と茅葺の大声が木霊した。 「俺は本気で怒ってんだからな!! 次ふざけたらチンコ折るからな!! L字型にして立ちションできなくしてやる!!」  茅葺よりも高い声がさらにそこに木霊して、キーンと茅葺の鼓膜の中に反響した。さすがに効いたらしく茅葺は瞑想中の僧侶のように目を瞑り無言で頬を撫でる。 「めっちゃしみるし! 死ぬ! 恥ずかしい! 死ぬ!」  佐原は怒っているというより脳裏にさっきの出来事が蘇るらしく、一気に逆上せている。 「泉巳が悪いんだよ?」 ――あんまりにも愛しくて、かわいいから……。 「はぁ?! 何で今は謝らねーんだよ!! 今こそ“ゴメン”を使う時だろうが!!」 「うん、大好き」 「聞いてんのか!!」 「好き」と茅葺は笑って繰り返し、佐原にかわいくちゅっと口付ける。怒っていても結局佐原は茅葺に弱く、すぐに照れて俯いてしまった。 「泉巳を好きになって良かった――幸せ……」 「~~~もう、黙れっ!!」  佐原に掛けられたお湯が鼻に入り込み、茅葺は盛大にむせ返って泣いていた。

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