20 / 26

第20話 学校にて

今日から学校は新学期。 車で20分ほど走った、 閑静な文教地区にあるミッションスクール・ 王立高等アカデミー。 遠方からの入学者用に学生寮も完備。 校則は他の私立校と比べればかなり寛容だが、 違反者には容赦がない。 新学期早々、朝寝坊でかなり出遅れ、 教室ではおそらく1時限目の授業が始まってる頃だ。 ***  ***  *** 高等部第二本校舎2F、1-S(1年S組)教室。 後方扉の所でひと呼吸つき、 体を出来る限り屈めて静か~に扉を開けた。 時間割り(タイムテーブル)通りなら、 今日の1時限目は定年間近の”Mrスリープ”こと、 ブラザー・カエサルが担当の古文。 ……の、ハズなんだが、 どうも聞こえてくる声はそうじゃない。 だって、古文にシェイクスピアの ”ロミオとジュリエット”なんか朗読しないよな? で、チラリ覗き見た教壇に立っているのは ――、    何かと言えば 『うるせぇー!文句あんならタイマン勝負だ』と 生徒相手にマジ切れし凄んでくるアカデミーの 悪魔こと・英語担当・百蘭(びゃくらん)だった。 やっべぇぇー、嘘だろ~…… なんでよりによってあいつなんだよ……。 俺はどうか見つかりませんよーに!  と、心の中で祈りながら、 教室最後尾の席の後ろを匍匐(ほふく)前進で 突き進む。 近くの席の皆んなはもちろん俺に気付いているけど、 百蘭の場合クラスメイト1人のドジの責任を 連帯責任と称して、クラスメイト全員に何らかの ペナルティを与えかねないので、 皆、俺の事は見て見ぬふりをしてくれる。 しかし、自分の席まであと数メートルと迫った所で 前方から黒板消しが俺目掛けて手加減なしの スピードで飛んできた! 俺は顔の先数センチでそれをナイスキャッチ。 「……おそよう、Mrランカスター」 かなり怒りを含んでるように聞こえるその口調は、 いつも聞き慣れてる声より2オクターブくらい低い。 それだけで、俺の背筋に冷水をぶっかけられたような 悪寒が走った。 「お早うございます、ブラザー・百蘭」 内心はビクビクだけど平静装い着席。 「……新学期早々、重役登校たぁお前もえらく出世 したもんだなぁ、ええっ?」 「アハハハ、それほどでもあります」 「今日私は非常に機嫌がいい、  従ってお前へのペナルティもあとでゆーっくり  考えてやるから、楽しみにまってろよー」 つまり、物凄く機嫌わりぃーからペナルティは 覚悟しとけって事ね。 (;´д`)トホホ……。 これで確実、百蘭に目ぇ付けられたよな……。   

ともだちにシェアしよう!