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第4話
睨まれるように問われ、鳥肌が立った。
愛情? 恋慕? そんな言葉は使いたくない。たとえお前が、そういうのを欲していたとしても。
「隅から隅まで弄って……最後までイカせれば、いいんだろ?」
軽く答えて、唇で唇を塞ぐ。身体だけの快楽を与える男。お前にとって、俺はそんな存在でいたい。
思わず嘲笑する。
きっと、似ている。
俺とお前は、似ているんだ。
息が苦しくなるキスに思考を流し、締め付けを強くする。
「ん、ぁ……ふ……っ」
俺を甘くしたお前。
でも、どこかでそんなお前を拒絶する俺をお前は笑うんだろうか。
酸欠の思考は纏まらない。
お前の太腿を持ち上げて、俺は腰をさらに強く激しく動かしていく。
完全に理性を失くした訳じゃない。わざと乱雑にしているだけだ。演技で駄々をこねるガキのように。
「やっ……んっ……あっ」
俺の欲望をより深く埋めていくと、お前の声は艶を増して、ぎゅっと閉じた目元は紅く染まる。
「ゃぁ、ぁああ……っ」
デカイ、太い、硬い。三拍子そろっている。
熱があがる。
すべて放棄して、全て壊れてしまえばいいのにと、いつも思う瞬間だ。
「っ、くっ……」
熱を増すお前の中に包まれて、俺自身に意識が全て持っていかれる。どうにかなりそうだ。
激しく喘ぐお前は、もう達するか?
悔しいな……いつもそうだ、お前とのセックスは。俺がお前をイカせても、最後に余裕を無くすのは、お前ではなく俺かもしれない。
熱に浮かされる。
自分の声がうるさい。
余裕があるように見せれているだろか。余裕なんてない。
おもいっきり背中に爪をたててやる。
泣きそうな、思いを込めて。おもいっきり。
届かない気持ちを込めるように。
「っつ……てっ」
背中に刺さる鋭い牙に、思わず顔を顰めるが。
お前はどんな表情をしているか? うっすらと瞳を開けてみると。
黒い髪、透き通るような白い肌、黒曜石のような瞳。
うっとりと見惚れながらも、俺の熱い身体を、お前のその滑らかな身体に押し当てる。最後の熱を注ぎ込むように。
ドクドクと注ぎ込まれる熱を感じながらイく。
すこしふくらむ腹をそっと撫でる。
「……は、ぁ……」
すべての情事が終わった事を告げる好意。
「…………なぁ、洸樹 。風呂入りたい」
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