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第5話
熱めのシャワーを浴びながら掻き出すのも手慣れている。
「……」
心臓の鼓動を聞きながら目をとじる。
じわりとシャワー熱が肌に染み込む。
「…なんで、あんなにくるしそうなんだ…」
口からこぼれた言葉は水温にかき消された。
「うぃーっす、隼人 」
いきなり入ってきた人影に、思わずシャワーを向けた。
「熱っち!」
洸樹は上半身を屈め、目元を両手で抑える。どうやら顔に掛かったらしい。
「あぁ、ごめん……っていうか、ノックとかしろよ」
俺は笑いながら、お前の筋肉のついた肩から背中に熱いシャワーを浴びせる。
「したけど聞こえなかったんだろ?」
シャワーの温度でほんのりピンク色になった身体を抱き寄せる。
「ん、なんだ?」
同じ男。でも、俺の懐に収まる身体。
もぞもぞと懐の熱が揺れ動いて。俺の屹立にそっと指先が当たった。
「ちょっ……俺もシャワー浴びるっ」
抱き締める力を緩めた俺の鎖骨に、お前は額をこつん、とぶつけると。
くすくす笑いながら、俺の下半身にシャワーを浴びせた。
「うわっ! 隼人、熱い、って!」
狭い風呂場ではしゃぎ合う。
「お前の体温高いよなぁ」
触れる肌の温度はやはり心地いい。
下半身から腹へとシャワーの位置を変えながら筋肉のつきにくい自分の身体と見比べる。腹筋を撫でるとすこし身体が反応した。
「……あー、今日はもう無理だぞ?」
煽るわけじゃない。と狭い風呂場で一歩下がった。
「あぁ……分かってるよ」
そっと腹に触れたお前の手の平や指先だけで、俺の身体は反応する。
その照れ隠しから、お前の黒髪をくしゃっと撫でると。
「洸樹、ビールでいいよな? つまみも作ってあるから」
そう手を伸ばし、お前も俺の頭を撫でる。頷いた俺に微笑んで、お前は風呂場から出て行った。
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