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第15話

ぼんやりとカクテルを眺める洸樹の肩に、ぽん、と手の平が置かれた。 「お待たせ」 クスリと笑った隼人と時計を見比べて、 「1時間くらい早くないか?」 尋ねると、耳元に唇を寄せて囁いた。 「マスターがサービスしてくれたんだ」 カウンター内をみれば「お疲れ様ー」と手をふるマスターがいた。 「お疲れ様です。また明日」 「うん、ゆっくりでいいよ」 大学あるしねぇ。と微笑んで隼人と洸樹を送り出した。 店の外に出ると、初めてふたりきりになって。 「さて、と……どこでなにを食べる?」 挑発的に笑う隼人から目を逸らす。 「場所は、お前の家しかないな。俺の家は調理器具無いし。料理はまかせるよ」 「きみがBARでは出せないメニュー、って曖昧に頼んだのに、また全部おまかせだと迷うなぁ」 「じゃあ……和食。米とおかずと味噌汁」 「かしこまりました。じゃあ先に、スーパーに寄るね」 自宅に向かう道中のある24時間スーパーへ立ち寄る。 品質がよく、価格もやさしい。 「……和食……ねぇ」 ついでに数日分の食料を買い込もうと思いながら青果コーナーを回る。 「……茄子と小松菜、葱……。味噌汁の具はなにがいい?」 「豚汁! 具沢山のやつで、豆腐は木綿豆腐」 そう言いながら、トマトをカゴに入れた。 「あとは、トマト苦手な俺にも美味いトマトメニュー作って」 「注文が細かくなってきたね」 苦笑しつつも、隼人はカゴに入れたトマトと棚の中のトマトを見比べ、「こっちの方が良いな」なんて入れ替える。 どこかよそよそしさが無くなってきた。 「豚汁ね。じゃあ大根はあるから、人参とごぼうと、肉買って……」 トマトはどう料理するかと頭を悩ませる。白だしで煮浸しにするか……。 「……メインは、どうする?」 豚肉を見ながら洸樹に声をかけた。

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