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第19話

俺の唇を拭った指を舐める、その舌の感触を味わいたくて。 隼人の後頭部を掴むと、その唇に唇を合わせた。 「ん、っ……」 ほのかな吐息を漏らす。 余裕はない。でも荒くない手に身体を任せる。 キスの味がトマトの煮浸し、というのがシュールだ。 「……ん、ぅ……」 なにかを確認するようにキスをする洸樹を煽るように舌を絡めた。 柔らかく絡めてくる舌の感触に、カクテルや日本酒とは違う酔いが回って。 より激しくキスを交わしながら、洸樹は隼人を思い切り強く抱き締めた。 「ふっ……はぁ」 華奢な身体から呼吸が漏れるが、苦しそうではない。笑っているのか? いきなり強く抱き締められたのに少し驚きながらもどこか可愛いなと思ってしまった。 「……ふ、ちょっと、びっくりしちゃった」 クスクスと笑う。 「……思った以上に激しいのかも?」 耳元で囁けば洸樹の身体が熱くなった。 「どんな風だと……思ってたんだよ」 からかい言葉からの照れか、耳元のくすぐったい囁きからの昂りか。身体はどんどん熱を増す。 このままソファーに押し倒すか? とも思ったが。 隼人の身体からゆっくりと離れ、お猪口に入っていた日本酒を飲むと。 「なぁ、ベッド行こうぜ。せっかくの料理が汚れたら、もったいねーだろ」 ふざけた口調で誘った。

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