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第27話

お出汁をとり、食材をいれてうどんを茹でる準備をする。 コトコトとお出汁で踊る食材を眺める。 「……今フリーだっていったらどうすんだろ……」 クスクスと笑いながら洸樹が風呂からあがるのを待った。 「あー、なんかまたいい匂いがする。またなんか作ってくれてんの?」 その辺に置いてあったタオルで髪の毛をごしごし拭きながら、コンロの前に立つ隼人の隣へ向かう。 「俺が食べたくて作ったんだよ。まぁ、お前のぶんもあるけどね」 意地悪そうな口調に、ちぇっ、と舌打ちをして。 「それよりビールくれよー」 隼人の肩に寄りかかる。 「勝手に冷蔵庫開ければ」 素っ気なく返された。勝手に、ね。どれだけ勝手にしても良いのか? 「じゃ、先に食べててよ。俺も風呂入ってくる。冷蔵庫のなかの作りおき食べてもいいよ」 風呂いってくる。と挨拶のようなバードキスをして風呂場へ向かった。 やっぱ慣れてるよなぁ。いいかげんな男の扱いにも。 隼人は洸樹の存在なんて、これっぽっちも意識してないんじゃないか? 拗ねても仕方ないけど。ヤケになってビールをごくごく飲んでいると。 「あれ? うどん食べてないの?」 髪の毛を乾かした隼人がやって来た。 ビールを飲む洸樹に声を掛けながら自分の分のうどんを茹でる。 「……おなか、へってなかったか?」 ビールだけで腹がたまるとも思えないけど。 「うどん食うよ。食欲はあるし」 またなにやら調理を始めた背中に声を掛ける。 「性欲は満たされたしな〜。あとは睡眠欲だけだな」 「なんだよ、それ?」 笑い混じりの疑問に軽い調子で答えようとしたが。 「……今夜、泊まってもいいか? 隼人の家に」 戸惑いの口調になってしまった。 ほぼ時間差がないため、もう一玉うどんを鍋に入れて茹でる。 「……ふふ、泊まるつもりだったんじゃないのか?洸樹の服も一緒に洗濯したから、明日には乾いてるよ」 クスクスと笑いながら丼をお湯で暖める。 色々とお見通しだな。それに、こっちの動揺なんてお構い無しか? 「それはどーも。じゃあ、朝メシも頼もうかなー」 「OK。昨日、買い物もしたしね。洸樹の希望は? 洋食? 和食?」 うどんをテーブルに置いて、隼人は隣に腰掛けた。 「……腹にたまればなんでも。でも、最初の玉子焼き美味しかったし、和食かなぁ」 「いいよ。ごはんは今からセットしとくし、和食なら作りおきもあるからね」 お好きにどうぞ。七味もあるよ。と洸樹の前におき、隼人はうどんを食べ始めた。

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