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第39話
「あっはは、それくらい判るよ」
伊達に人間をみれるバイト先をしているわけじゃない。
「……なぁ、洸樹。俺のごはんを一緒に食べてくれるか?」
にんまりと笑った隼人が嬉しそう洸樹に問い掛ける。
なんだそれ、プロポーズか?
隼人の問いに、洸樹は戸惑ったが。
「うっ、うん! 隼人の作ったごはんなら、好き嫌い忘れて食べるよ!」
大きく首を縦に振り、子どもみたいに答えると。
「その代わりに……俺が隼人に出来ること、ってなにかな?」
また子どもっぽく問い掛けた。
「……俺の、隣にいてくれる事、かな……」
寝癖の髪のままの洸樹を抱き締めた。
「それだけで、俺の心はきっと大丈夫だから……」
背中に腕を回して、無言で頷くと。隼人の額に洸樹の唇が当たる。
ずっと隼人の心を支えるには、どうすればいいのか?
それはまだ分からないけれど、いまの洸樹に出来ることは、こうして抱き合うことだけだ。
「なぁ、隼人……」
耳元に唇を移動すると。
「……今夜、BARのマスターと話せるかな」
そっと囁いた。
「聞いてみる、けど。きっと大丈夫だ。開店すぐか、閉店間際か判んないけど……」
時間はくれるよ。と囁くように答えた。
マスターに会ってどうするつもりか?
それもまだ、洸樹ははっきりと決めていなかったが。
カクテルと一緒に貰った「あの子を頼んだよ」という言葉が頭をよぎったんだ。
「うん、ありがとう。じゃあ……朝ごはん食べよーぜ」
そう言って、洸樹は隼人の唇に、軽くキスをした。
マスターからの答えは、
「時間はとれるよ。でも、開店から貸し切りだから閉店後でも大丈夫かな?」というものだった。
閉店後のBARで。洸樹はどこかそわそわして、隼人とマスターの傍へ向かった。
なにをどう話せばいいんだろう?
洸樹から頼んでおいて、まだ考えがまとまらない。
「洸樹、大丈夫だよ」
バイト終わりの隼人が洸樹の隣に座る。マスターはもうすこし時間が掛かるから、とノンアルコールカクテルを作ってきた。
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