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第2話

「…はぁぁ」 あれから約2週間、少女…晴ちゃんが全然懐いてくれない。晴ちゃんは小学校3年生で、元々通っている小学校は俺の家から遠いためすぐ近くの小学校に通わせることになった…のだが、ちゃんと馴染めているのだろうか?? どうしたものか…、はぁ、と今日何度目かもわからないため息が溢れた。 「まさ、どうした」 「えっ?ぁ、雅…いや別に」 「嘘つけ、別にって…何もないやつがことある事にため息つくか?」 「いやほんとに何でもねぇよ」 小幡 雅(こばた みやび)。高校からの同級生で同じ会社の同期。極度な俺に対する心配性は引くほど。そんなこいつに今回のことがバレればめんどくさい。 「嘘つけ話せよ」 無視だ、無視。早々、それが一番…そう思ってそれを続けていたのだけれど… 「…なぁって」 ────なんでこうなった!!──────── 1日無視して早めに仕事を切り上げて帰ろうとした、そしたら着いてくるではありませんか。 「ほんとに何でもないから!!」 「わかりやすい嘘つくなよ、ん?どうした部屋に入らないのか」 「…いや、その」 焦っていれば手に持っていた鍵を取られてしまった。 そのまま鍵穴に差し込みカチャリ…あぁまずい、ばれた グイグイリビングまで背を押されてきたやばいやばいやばい…ん? いい匂い…? 「お前誰かいんのここ」 一人暮らしだったよな?と周りを見渡す雅。 俺も同じく部屋を見渡すがそこに誰もいなくてただコトコトと音を立てる鍋だけがあった。 …あれ?晴ちゃんは? 「誰もいない…」 「あはは当たり前だろー?」 「じゃあその料理は?お袋さんが来てたことにしても火をつけたまま消えるか?」 「えっと」 なんとか言い訳を考えるけど浮かんでこなくて、そんなとき… 「おかえりなさい……ぇ、と」 「「っ!?」」 「まさ、お前…まさかロリ…」 「違うからな!?」 「じゃあ隠し子…」 「それもちがう、百歩譲って隠し子がいてもここまで大きい子いねぇよ!」 疑うようにこちらを見てくるこいつを殴りたい ほら、晴ちゃんどうすればいいのか焦ってんだろ。 「…はぁ、仕方ないお前だけには言いたくなかったけど話す」 そう言うと満足げに微笑んだら家主の許可無くソファーに座り込んだ。 こいつ……と思ったけど晴ちゃんもいるわけでぐっと堪えた 「その前に、晴ちゃんご飯作ってくれたんだね、ありがとう」 「!!…ぁ、いえ」 頭に手を置いて優しく撫でると一瞬目を輝かせたもんだから初めての反応にキュンってした。 嬉しくて抱きしめたくなったが後ろからの視線が痛いのでやめた。

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