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Ⅰ章 優しいその指が……⑧
なぜ?
そんな事を言うんだ……
あなたは鷹緒さんだ。
……違う。
俺は、真珠。
「真珠と申します」
獣のような獰猛な口づけ
部屋に入るやいなや、右手を股間に導かれる。
……鷹緒さんの熱が膨らんでいる。
「ご存知かとは思いますが、ここは男と男が睦み合う場所でございます」
「鷹緒さん」
「鷹緒ではなく、真珠……」
右手に固くなった熱塊を押し当てる。
「そう、お教えしました筈です」
俺の手で昂りをこすって、ハゥん……と鳴く。
「鷹緒さんっ」
「真珠です」
「……真珠さん」
「真珠、とお呼びください」
俺の手に擦りつけて腰を振る。
「……真珠」
呼ぶと嬉しそうに、欲に濡れた目を潤ませた。
「あなたにお話が」
「後で。このままは……苦しい」
俺の手ごと恥ずかしい膨らみを握って扱 く。
アっアっアっ
喉の奥で嬌声がうめいた。
左手がつぅ……っと。
俺の脚に這った。
内腿を伝って上ってくる。
「真珠……」
「感じてるんでしょう?」
意地悪っぽく唇の端を小さく上げた。
……こんな顔もするのか。
少し固くなった熱を、真珠が愛しそうに撫でた。
「……嬉しいですよ」
チュッ
着衣の上から唇を寄せて。
「貴方の欲望で、私を愛でてください」
それとも……
チロリ、と。
深海の瞳に淡い火が灯る。
「私が、貴方を愛でましょうか?」
指先が……
後ろの窄まりに触れる。
「あなたという人はッ!」
真珠と呼ばれる人を胸の中に抱きしめる。
ハッと止まった呼吸
「怯えないでください」
あなたを離さない。
もう離したくない。
あなたに逢うために生きてきた。
父があなたを愛していようとも関係ない。
「あなたの望みは?」
「私を愛でてください」
「嫌です」
抱きしめる肩が震え、飲み込んだ息が震えている。
「それは俺の望みです」
鼓動を重ねて……
首筋をかじって……
耳のひだを舐める。
「酷くするぞ……真珠」
俺を忘れたというなら、もう俺を忘れないように。あなたに刻みつける。
一気に上半身の服を剥いだ。
ベッドに押し倒した白い肌に、鬱血の跡が幾つも浮かんでいる。
唇を落として乱暴に噛 む。
クッと漏れそうになったうめきを喉に潜めて、真珠が眉間を寄せる。
多くの男に体を許した跡が、
「煽ってるのか?」
嗜虐心を弄ぶ、蜘蛛の糸
真珠ノ白い肌に散ル花びらの痣が、俺を絡めとっていく。
許し難い痣が錫杖で打たれたように。理性を奪う。
紅黒い痣を噛む。一つ、また一つ。
舌でねぶって、丹念に噛み傷を落とす。
「俺が上書きする」
呼吸が早い。
体が熱い。
感じている。
真珠が、俺を
俺が、真珠を
邪魔な下半身の着衣を脱ぎ捨て、取り出した真珠の雌しべはベトベトだ。
「こんな貧相なモノで俺を悦ばせようと?」
手の中にすっぽりおさまるソレをこすって、俺の脚の間、いきり立った剥き出しの雄しべと一緒に二本まとめて扱く。
「ヤッアハぅハアァア」
唾液を垂らした口が、慚愧 と歓喜の悲鳴を上げた。
「あなたのっ……」
薄く開いた瞼が、微かに憂う。
「あなたの名を教えてください」
こんな時でも初対面を装うあなたが意地らしい。
「斉原 凌。心にお留めください」
あなたを抱きしめる。
強く、激しく
楔を穿つ。
俺の物になってください。
いま、一時だけでも……
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